伽羅

きゃら

 伊達家三代目藩主伊達綱宗(だてつなむね)は、万治3年(1660年)、放蕩を理由に幕府から強制的に隠居させられました。その奢侈な暮らしぶりとして伝えられたのが、"伽羅の下駄"。綱宗が香木伽羅の下駄を履いて遊郭に通ったという話です。

 お香や線香の原材料となる香木のひとつに沈香(ぢんこう)があります。
沈香は、東南アジアの密林に生育する沈丁花科アキラリア属の木から採取されます。暑く湿度の多いところなので、切り株から腐り始めるのを防ぐため木は樹脂をその切り口に集め固めようとします。それが年月とともに厚くなり、あるバクテリアの作用によって香木と変化します。さまざまな条件が重なって生まれる香木は、どれだけ、どんな品質のものが採れるか予測出ません。また香りも一定ではありません。それだけに非常に貴重で高価なものとなります。
もともとの木自体は軽いのですが、樹脂とバクテリアが作用して香木となったものは重めになり水に入れると沈むところから「沈香」といわれます。

 伽羅というのは、その沈香の中でも、ベトナムのある地域からしか取れない、より高価なものを指します。沈香は熱を加えなければ、香りを発しませんが、伽羅は常温でも芳香を放つそうです。『伽羅先代萩』の序幕、花水橋の場で伊達綱宗を襲った曲者が、下駄をくんくん嗅ぐのも伽羅ならではのことでしょう。(み)



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