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七月大歌舞伎 製作発表記者会見!

歌舞伎座「七月大歌舞伎」は、昼夜にわたり全狂言を泉鏡花・作の4作品を上演するという、これまでにない画期的な公演になります。
公演に先立ち、5月24日、玉三郎、海老蔵が出席し製作発表が行われました。

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まず、玉三郎から

「泉鏡花の作品を4つ並べて、歌舞伎座で新しい形で上演いたします事、この上ない喜びです。以前から『夜叉ヶ池』『海神別荘』『天守物語』を同時に上演できればと思っていました。精一杯、良いものをお見せできるように努力します。」

続いて海老蔵から

「今回の話が決まり、(以前の)自分のビデオを見直して、なんとお恥ずかしい事を舞台でしていたんだろうな、という思いです。今回はそうならないように一生懸命勤めたいと思います。」

現在、名古屋中日劇場に出演中のため、製作発表に出席できなかった澤瀉屋一門からは、ビデオレターでの挨拶がありました。

門之助

「大和屋のお兄さんが長年愛されて手がけてらっしゃった泉鏡花の世界に出演できます事、まことに幸せでございます。」

右近

「泉鏡花作品に出演させていただくことは初めての経験。未開の地に足を踏み入れるようなもの。非常に期待と不安が一杯です。」

猿弥

「鏡花の世界を極めていらっしゃる大和屋さんのご指導のもとで、我々新しい境地を勉強させていただけるものと楽しみにしております。」

笑三郎

「海老蔵さんとご一緒の舞台を初めてさせていただきます事を大変楽しみにしております。」

春猿

「女方として憧れの鏡花作品、一生懸命勤めさせていただきたいと思います。」

段治郎

「今までさせていただきましたお役の経験を生かせるよう、鏡花の作品にもそれを生かしていきたいと思います。」

今回の演出について尋ねられた玉三郎は、

「できる限り簡素で、転換の少ない舞台、今までの上演で付け加えてきたところを削ぎ落とすことで、純粋なものが表現できればと思っています。泉鏡花先生の作品は別々のようでいながら、統一的な作品。とくに『海神別荘』『夜叉ヶ池』『天守物語』は、どこかで関連があると思っています。『夜叉ヶ池』『海神別荘』は水、それに対して空が『天守物語』いう感じを出して、4つ彩の違う物語を、どこか統一感のある作品としてごらん頂ければと思っています。」

「昼夜観ていますと、鏡花先生の言葉が、どんどん出てきます。そこをどうやって俳優たちが鏡花先生のセリフを日常的な言葉として普通に話し、聞いているお客様に特別なものとは聞かせないようにするか、ということが大切ではないかと思います。それが行われれば幻想的な4演目が提供できると考えています。」

鏡花作品の魅力については、

「一言でいうのは大変難しいのですけれど、“幻想的な世界”だということでしょう。飛躍をしているんですけれど、人間の本音を言い得ている小説だと思います。それから、鏡花先生の作品というのは、物語もさることながら、“詩”だと思っていただきたいんです。詩的な飛躍がたくさん出てきます。ですから、“なぜ、この人が登場したのか”とか、“なぜこのような結末が起こったのか”ということを論理的に考えるよりも、感覚的に受け止めていただいたら楽しめるんじゃないかと思います。」

「鏡花先生の中では異界の人間が自然で、自然に生きている人間が異界。異界の人間が、自然に生きている中の人間から、異界で生きれる人を選ぶということになっています。ですから、異界というのは先生の理想の世界なんじゃないでしょうか。」

続いて海老蔵から

「以前(玉三郎の)お兄さんから丁寧に教わったことは当然のようにできるようになりたい。その上に、自分のなかで応用した公子を演じるという構想もあります。図書之助に関しても、“純粋”というか本当の人間の本音というか、意味は少し解りづらいけれど、伝わってくると解るいうものをなるべく意識してやっていきたい。この公子と図書之助に関しては好きなところが多いというのが本音。すごく良い言葉がふんだんに入っている。それが難しいかと言うと…難しいのですが、何度もやっていくと、ほんとに素敵な言葉をしゃべらせていただいているんだなという感じがして、とても好きです。」


 泉鏡花(1873~1939)は、美しい文章で知られ、生涯に300を超す作品を書き続けました。『婦系図』『白鷺』『日本橋』など、新派でしばしば上演されることになる風俗性の強い小説を数多く書く一方、『天守物語』『海神別荘』『夜叉ヶ池』など、超自然界を扱った幻想的な戯曲も残しています。玉三郎が鏡花作品に初めて出演したのは、昭和48年(1973)の『滝の白糸』のヒロイン白糸でした。その後、『婦系図』のお蔦、『日本橋』のお孝、『天守物語』の富姫を演じるなど、多くの鏡花作品に出演・演出、さらに映画『外科室』『天守物語』を監督として撮影し、それぞれに高い評価を得ています。
 今回は鏡花作品の中から四作品の上演。人間ならぬ異界の者たちが活躍する、魅力あふれる鏡花ワールドをぜひお楽しみください。

2006年05月25日

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