3月南座『霧太郎天狗酒醼』記者懇親会
中村七之助―――
僕も、この作品に出演できる事を本当に幸せだと思っています。
復活狂言に出させていただくのは初めての事で、昔のものを、今生きている役者がどうやって復活していくのか、橋之助の叔父を中心として話し合い、そして、いっぱい稽古をするのが今から楽しみです。
その中で、昔では考えられなかったようなことが、もしかしたら生まれてくるかもしれませんし、現代のお客様のニーズにあった、しかも歌舞伎らしいお芝居にしていけたらいいなと思っております。

記者懇親会会場
----霧太郎を演ずる楽しみ、復活狂言の魅力は?
中村橋之助―――
「霧太郎という役については、まだ細かくは決まっていませんが、“こうありたい・世の中をこう動かしたい”というような、人間がどこかに持ってる頑固さを霧太郎で出していきたいと思っています。
そして、『霧太郎天狗酒醼』を“歌舞伎らしい狂言”“歌舞伎のニオイがするお芝居”にしたい。仕掛けがとても多いお芝居ですが、それを“イリュージョン”にするのではなくて、古くからある歌舞伎の古典的な仕掛けにしたいんです。映画を見るという感じよりも、むしろ、公園に来る紙芝居みたいな…そういう“ニオイ”のするお芝居にしたいと思っています。
『小笠原騒動』をやっている時は、翫雀さん、扇雀さん、染五郎さんと4人で無我夢中でした。ほんとに子供の頃、お芝居ごっこをしているような感じで。お客さんが入るのかも不安で、本番前にはお腹が痛くなりました(笑)。初日の序幕前、舞台からそっと客席を覗いたら、3階までお客さんがいっぱいで…出る前に涙がポロポロ出てきて…嬉しくてね。
復活物はやっぱり楽しいですよ。今まで何度か復活物をやらせて頂いたことが全て、コクーン歌舞伎や、平成中村座にも繋がっているっていう気がします。10代、20代っていうのは早く結果が見たいと思っていましたが、今は、お稽古だとか、作るまでのプロセスがすごく楽しくってね。
これは僕がよく使う言葉ですが、子供がおもちゃで遊ぶように、自分の持っているおもちゃを、いっぺんバッと並べて、どれで遊びたいか、どんなものを作りたいか…そんな風に、相談しながら決めて作っていくんです。
そして今回共演する、愛之助さん、勘太郎さん、七之助さんっていう気心の知れた、とても面白い感性を持っている彼らは、今一番勢いのある時期です。3月に向けて、「よし!これで行くぞ!」という感じがみなぎってきています。今回の『霧太郎天狗酒醼』、僕らで面白い芝居にしますので、ぜひよろしくお願いします。」
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『霧太郎天狗酒醼』の初演は宝暦11年(1761年)1月大坂の角の芝居。最後の上演は、明治29年(1896年)4月京都夷谷座で、今回は111年ぶりの上演となります。歌舞伎ではあまり扱われていない、源実朝と、実朝を暗殺した公暁の世界を舞台に、恨みの念、そして、悪人が実は善人といった歌舞伎らしい複雑な人間関係が絡んで物語が展開していきます。それらを、判りやすく現代の感覚にあった形にして、本質である“歌舞伎のニオイ”を凝縮し復活する『霧太郎天狗酒醼』。見逃せない舞台になりそうです。

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