玉三郎・鼓童共演『アマテラス』
鼓童との共演について―――
坂東玉三郎―――
鼓童の舞台から、集中して修行をしてきた太鼓打ちの純粋さ、素朴さ、雑念の無さ、そういったものを感じ、その良さをなるべく傷つけないように『アマテラス』を作りたいと考えました。
演出では、舞台でしゃべるかしゃべらないか、曲に歌詞をつけるかどうか、脚本をどうするかも話し合い、極力言葉を少なくすることにしています。
さらに、お客様にお見せするものを作る上で、見せていくのか、それとも、ただ打ってるとこを見ていただくのか、ということも問題になりました。コスチュームをどうするのか、どこまでお客さんとのコミュニケーションをとるか、あるいは、取らないのか、ということも話し合ってきました。
そして、見せるものを作るというよりも、ひたすら叩くものを見ていただく、それが結果的に見ていただけるものになれば、ということになったんです。
鼓童との競演で得たもの―――
坂東玉三郎―――
一言でいうのは大変むずかしいのですが、“楽しんで作った”ということが自分にとって、一番得られたものだと思います。
歌舞伎役者として稽古を重ね修行を続けて来て、若手の頃から今日に到るまで、様々な葛藤があると思うんです。
しかし、佐渡に来てみると、皆さん太鼓を叩いて集中している。世の中の事も考ずに"自分の表現”を考えようとしている…そんなところもあるのではないかと思うんです。そういう環境で雑念をはらって楽しむものを作れたということが、自分にとって大きな収穫でした。
佐渡で、踊ったり唄ったり、あるいは現地の人と話していくと、都会で芝居をしたり踊ったりしていくことに対して、自分の中に、余裕というか、考えの巾が生まれてきます。佐渡の自然の中で、物を静かに考えられる、そうして浮かんだ考えを、もう一度考え直す。そういうことが出来るのは、私にとっては大切なことなんですね。
佐渡ほど、空気の良いところはなかなかないし、海も山も近いし、そこで皆でお弁当食べたり(笑)・・・それがなんだか、自分が子供の頃に俳優になりたくって、お客様の前に出る事を考えずに踊っていた時分と感覚が良く似ていたんです。そうして東京に帰ってからもう一回何かを考えられる。
都会で芝居をしていて、原点に戻るとか、昔のままの芝居をするとか、そういう事はもう不可能でもあるだろうし、実際自分でもどうやってよいかも分からないんです。むしろそれは、イメージだったり、自分の希望だったり、夢であったり。そういう物を想像することで、次の物を作る余裕が生まれるようになったと思っています。
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昨年大反響を呼んだ、玉三郎と鼓童の共演『アマテラス』。この夏の歌舞伎座公演は、演劇界においても大きなインパクトを与える公演として注目されています。歌舞伎座に響く太鼓、舞踊と音空間が織りなす幻想的な日本神話の世界。その魅力を存分にご堪能下さい。
公演情報は
こちらをご覧下さい。

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