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富十郎 青砥藤綱ゆかりの寺を訪ねて

富十郎 青砥藤綱ゆかりの寺を訪ねて

 青砥藤綱が奉納したと伝えられる弁天様の前で

 歌舞伎座「團菊祭五月大歌舞伎」夜の部では、通し狂言『青砥稿花紅彩画』が上演されます。4月25日、青砥左衛門藤綱を演じる中村富十郎が、葛飾区の大光明寺(旧 極楽寺)を訪れ、藤綱が奉納したと伝えられる弁天像や、藤綱の供養塔を見学しました。

 きらびやかな山門の上で、悠然と四方の景色を眺める日本駄右衛門。眼下の滑川の土橋の上には、弁天小僧が落とした胡蝶の香合を拾い上げた青砥左衛門藤綱の姿。日本駄右衛門はいさぎよく縄にかかろうとしますが、青砥藤綱はこれを制し再会を約束して別れます。これが、『青砥稿花紅彩画』の幕切れの名場面。舞台いっぱいにせり上がる極楽寺山門は、まさに“花紅彩画(はなのにしきえ)”にふさわしい舞台です。

 ここに登場する青砥左衛門藤綱は、鎌倉時代の執権・北条時頼に仕えていたといわれ、その名奉行ぶりは、江戸時代の大岡越前にも並び称され、今に伝わっています。川に落した十文銭を五十文する松明を使って探し、拾い上げた十文と松明を買った五十文、どちらも世の中の為になり無駄にはならなかったと説いたという故事が、この名場面に生かされています。

中村富十郎

 大光明寺に残る弁天像と藤綱の供養塔を見学した富十郎は、

 「藤綱公が持って来られたといわれる弁天様を拝見し、とても感激しました。そして、藤綱公の供養塔にも魂が込められているのを感じ、お役にゆかりの場所をお参りする事の大切さを改めて感じました。」

 今回初役で勤める青砥藤綱の工夫については、

 「青砥藤綱は幕切れの一幕にだけ登場します。そして、落とした十文銭を五十文使って拾うというセリフを言います。なぜ、このセリフを作者の黙阿弥が言わせたのかが気になったんです。それは多分、全編を通してお金ばかりが出てくるこの物語の最後に、いただくにしても遊ぶにしても、お金は正しく使わなくてはいけない、という事を伝えるためだからだと思うんです。

 今までに拝見した諸先輩の舞台を参考にして、名奉行で有ることを肚に、特に“十文”の事を丁寧に言いたいと思っています。そして最後、青砥藤綱は日本駄右衛門を捕まえませんが、これは一時の放生会(仏教の不殺生の思想に基づいて、捕らえられた生類を山野や池沼に放つ儀式)。天の網からは逃れられないと、睨みをきかせたいと思っています。」

公演情報はこちらをご覧ください。
歌舞伎座 團菊祭五月大歌舞伎

 青砥藤綱の供養塔を参拝

2008年04月28日

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