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魁春 紫綬褒章受章の喜び

魁春 紫綬褒章受章の喜び

 歌舞伎座「團菊祭五月大歌舞伎」に出演中の中村魁春が紫綬褒章受章の喜び、歌舞伎座「六月大歌舞伎」『新薄雪物語』で勤める初役の松ヶ枝について、父・中村歌右衛門との思い出や、女方の魅力について語りました。

紫綬褒章の受章について―――
 昨年、兄の中村梅玉がいただいた事もあり、私がいただけるとは思ってもみませんでした。今回受章させていただいた事で、この魁春という名前が記録にも残ることになり、それも大変嬉しく思っております。

 晩年の父 歌右衛門が元気だった頃、父に“歌舞伎の素質が無い”と言われたことがありました。きっと私が父の言うことをあまり聴かなかったから、そう言ったのだと思います。そんな中でも、女方の道を進ませてもらえた事で、現在があるのだと思っております。父には本当に感謝しています。また、もちろん親戚の中村芝翫兄さんをはじめ、兄梅玉、東蔵さんなど、多くの方に盛り立てていただいていて、この受章は私だけの力では無いと思っております。

認められた点について―――
 そうですね。やはり女方一筋ということじゃないでしょうか。兄が立役で、わたしも立役でしたら、分かりませんよね。

女方人生をふりかえって―――
 今では、他に出来ないから女方をしている・・・そんな感じもいたしますが、せっかくやらせていただいているのですから、これからも最大限の努力をしていこうと思っております。

 今回、紫綬褒章をいただきましたが、まだまだ相応しいとは思っておりません。今まで進んできた道でさらに努力を重ね、これに恥じないようになりたいと思っております。

六月の『新薄雪物語』について―――
 私が演じる松ヶ枝は、ある程度老けの出来る方々が、今まで演じてこられました。こういう役を演じるのは初めてのことです。

 若いお役は何とかできると思うのですが、老ける方はかなり大変です。でも私も60歳ですから(笑)。今回一緒に受章する寺尾聰さんも、それにヒラリー夫人も同じ年なんです(笑)。

 今まで女方を勤めてきて、紫綬褒章をいただいて、その次の舞台が老けの役。これからはますます、いろんな役をやっていかなくてはいけない、改めてそう思っております。

父歌右衛門について―――
 父は女方でしたから、とくに私には厳しかったようです。目に付くところがきっと多かったのでしょうね。

 良い形をしなくてはいけない、形があっていなくてはいけない。そういう事ばかりを気にして舞台に出たことがありましたが、父に全然気持ちが入っていないと怒られました。気持ちが入れば、形は必ずそういう風に見える。とにかく“気持ち”が大切と教えられました。舞台を見ずに、楽屋に流れてくる私のセリフを聴いただけでも、そう言われました。

 今になってみると自分も当時の父と同じような想いでおります。歳を重ねると、自然にそうなるのですね。

 直接ではありませんが、一度だけ父に、人づてに私の舞台を褒めてもらったことがありました。『寺子屋』の戸浪でした。もう具合が悪かったので、ビデオを見てのことでしたから、ビデオの写し方が良かったのか、あるいは僕ではなくて人の舞台だったのかなって思っています(笑)。

女方の魅力、これから―――
 歌舞伎には女方が必要です。一番近くに父がおりましたから、父の舞台に対する気持ちや技術を受け継いで、あのようになれればなと思っております。

 中村魁春は5月歌舞伎座「團菊祭五月大歌舞伎」では『義経千本桜』に、6月歌舞伎座「六月大歌舞伎」では『新薄雪物語』に出演します。ますますの活躍が楽しみです。

2008年05月21日

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