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幸四郎『勧進帳』千回 東大寺奉納大歌舞伎

東大寺奉納大歌舞伎
▲大仏殿を前に上野道善東大寺管長(右)と松本幸四郎(左)

 平成20年10月15日、東大寺において、松本幸四郎の武蔵坊弁慶による『勧進帳』の奉納大歌舞伎公演が開催されます。この公演は、2年後にせまった平城遷都1300年祭のプレイベントであり、幸四郎が弁慶を演じて千回になるのを記念しての公演です。

 『勧進帳』はよく知られた源義経と武蔵坊弁慶の逸話ですが、義経一行が、平重衡によって焼かれた東大寺復興のために、寄付を集める“勧進”の山伏に姿を変えているところから、ゆかりの深い東大寺における奉納上演が実現いたしました。

 また10月15日は聖武天皇が大仏造顕の詔を発した日に当たり、この日にあわせ、特設の舞台を大仏殿前にしつらえ、歌舞伎の魅力をたっぷりとご堪能いただきます。また『勧進帳』上演前には、東大寺式衆による「散華」が厳かに行われます。公演を前に東大寺で記者会見が行われ、松本幸四郎が意気込みを語りました。

松本幸四郎―――
幸四郎 50年前、16歳の時に初めて『勧進帳』の弁慶を演じました。そして今回『勧進帳』の千回目の公演を東大寺大仏殿の前で演じられるという事は、まさに奇跡のようです。これは、今まで足を運んで下さった多くのお客様のお陰、そして関係者の協力、もちろん自分が健康でいられたこともありますが、何よりこの半世紀、日本が平和であったから出来た事だと思っています。

 この度、大仏様の前に立たせていただき、永遠の時の長さ、物理的ではない時間的・空間的な広さを強く感じました。きっと大仏様にとっては、今回の公演もほんの一瞬の出来事でしょう。我々俳優の演じる芸は、舞台の上では一瞬で消えてしまいます。しかしその一瞬を、ご覧下さったお客様の胸の中に永遠に残したいと思っています。今日、その思いを強くするとともに、千回目の公演は、この場所この時、大仏様の前で演じる以外にはあり得ないと改めて感じました。

 千回という回数ももちろん大切ですが、それ以上にお客様に最高の舞台を何度お見せできたかという事も大切です。これからも役者としてその思いを大切にしていきたいと思っています。


印象に残っている事―――

 16歳の染五郎時代、「子供歌舞伎教室」という早朝歌舞伎座で若手俳優に大役をやらせるという舞台で、初めて『勧進帳』の弁慶を勤めさせていただいきました。その時、舞台を見た劇評家の方に、新聞で「染五郎の弁慶が六方を踏んで花道を引っ込んだあと、感動のため、暫く私は席から立てなかった」と俳優としての劇評を初めて書いていただいた思い出がございます。

 そして、26歳のときに『ラマンチャの男』と出会い、これも1100回公演を数えました。今年で66歳を迎え、今思うと決して楽ではなかったし、かえって苦しいことのほうが多くありましたが、歌舞伎を死に物狂いでやってきたからこそ、『ラマンチャの男』も『勧進帳』も続けられたんじゃないかと思うんです。水と油のように思えるような両方の芝居を、そこそこにやってたら、両方とも潰れてしまったのでは無いかと思います。

 奇しくも今年は、私の父の白鸚の27回忌で、2月には歌舞伎座で追善興行を行わせていただきました。父は素朴で自然の雄大さが残る奈良が大好きでした。父に縁のあるこの東大寺を前にして千回の『勧進帳』をすることが出来、全部の思いがそこに達するという感じがしてなりません。

東大寺奉納大歌舞伎


今回の公演について―――

 細かい点の打ち合わせはこれからですが、“大歌舞伎”というものをお見せしたいと思っています。それは、どのような空間でも、その俳優が舞台に立つと、周りの空いている空間が一杯になってしまう。私は、そういうことのできる役者でなくてはいけないと、常日頃から思っています。それは、大きさではなくて、役者の芸です。命をかけて、この千回の『勧進帳』を、そういう舞台にしたいと思っています。


【公演情報】

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詳しくは こちらをご覧下さい。

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