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三津五郎、芝雀「松竹大歌舞伎」への思い

三津五郎、芝雀「松竹大歌舞伎」の意気込み

 10月30日(木)神奈川県秦野市文化会館を皮切りに「 松竹大歌舞伎」が始まります。秋田県小坂町の康楽館や、福岡県飯塚市嘉穂劇場など江戸の名残を残す芝居小屋も巡る楽しみな秋季巡業。11月25日(火)熊本県山鹿市八千代座まで、全国17の劇場を巡ります。

 演目は河竹黙阿弥の名作『魚屋宗五郎』、華やかな舞踊劇『京人形』と、いずれも見応えのある舞台。秋季巡業に出演する坂東三津五郎、中村芝雀が取材会を行い、舞台への意気込みを語りました。

坂東三津五郎―――
坂東三津五郎 『魚屋宗五郎』『京人形』、どちらも分かりやすいお芝居です。巡業では、歌舞伎に触れる機会の少ない方もいらっしゃると思いますので、歌舞伎の面白さを味わっていただき、「本当に歌舞伎って楽しいね」と思っていただければ嬉しく思います。

 私事ですが、巳之助と親子で巡業に参加するのは初めてのことです。息子は、『魚屋宗五郎』で鳶吉五郎を勤めさせていただきますが、花道で宗五郎と出会うタイミングがとても難しい役です。劇場の大きさの違う巡業では、さらに難しくなると思うので、彼にとっても大変勉強になるのではないでしょうか。


中村芝雀―――
中村芝雀 三津五郎さんの襲名のときに巡業をご一緒させていただきました。私と三津五郎さんは歳もほとんど同じで、小さいときからとても仲良くさせていただいております。『魚屋宗五郎』では何度かご一緒させていただきましたが、『京人形』では初めてです。私も今度の巡業をわくわくしながら迎えさせていただけると思っています。


『魚屋宗五郎』について―――

三津五郎―――
 世話物は数を重ねるほど、より自然にできるようになっていきます。芝居かどうか区別がつかないほど自然になるのが本当の世話物です。そういう意味でも、昼夜数を重ねて勤めさせていただく今回の巡業は、今後の宗五郎像に大きなプラスになると思っています。

 見どころは、やはりカラの湯呑みとカラの片口で、どうお酒が入っているようにみえるか、そして、じっとこらえていた宗五郎が一杯の酒からだんだん酒乱の本性を現していく過程ですね。さらにこの演目では、三味線による合方が際立っていて、お芝居を盛り上げるのにとても効果的です。

 宗五郎は、尾上松緑の小父様から直接教えていただいた、とても大事にしているお芝居です。世話物の楽しさ、ふと江戸の街角に迷い込み、まるで江戸の風が吹いているような気分を味わっていただきたいと思っています。

芝雀―――
 おはまは、相手の気持ちを察し想いながら演じることが大切だと思います。宗五郎が単なる酔っぱらいではなく、どうしてもそうならざるを得ない、じっと我慢をしていることを分かっている女房というのが、リアルに表現されることがとても大切だと思っています。


三津五郎、芝雀「松竹大歌舞伎」の意気込み


『京人形』について―――

芝雀―――
 左甚五郎が丹精込めて作った人形が動き出すというのが面白いですし、京人形が男の所作をみせていたのに、懐に鏡を入れると女の心が出てくるといったケレン味も見どころです。後半の立廻りも大工の道具を使ったりしていて、堅苦しくなく目で見て耳で聞いて、気持ちの中にとけ込んでいくような、楽しい演目だと思います。


巡業で巡る土地について―――

三津五郎―――
 八千代座は楽屋も江戸時代の芝居小屋の雰囲気を残していてとても素敵な劇場です。以前、岩手にうかがったときには、付人がふらっと入った椀子蕎麦屋で220杯も食べて、選手権に選ばれたことがありました(笑)。熊本城は昨年築城400年を迎えて、今年4月から本丸御殿が公開されたんですよね。お城を訪れるのが好きなので、この巡業の際に見に行きたいと思っています。

芝雀―――
 以前八千代座で、三津五郎さんのお部屋に集まり、みなさんと美味しい馬肉をいただきながら一杯飲んだ事がありましたし、徳島では美味しいうどんが印象的でした。家内の祖父は山形の人なのですが、寡黙で暖かみのあるかたで、お国柄を感じます。

 この巡業では伝統的な劇場にもうかがいますが、舞台の高さが客席とほぼ同じなので、お客様と目があって照れることもあります。芝居小屋での公演は、舞台との距離がとても近いので楽しさが何倍にもなるのではないでしょうか。

公演情報は、 こちらをご覧下さい。

三津五郎、芝雀「松竹大歌舞伎」の意気込み

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