玉三郎、獅童 八千代座百周年「坂東玉三郎特別舞踊公演」への思い

玉三郎、獅童 八千代座百周年「坂東玉三郎特別舞踊公演」への想い

 今年100周年を迎えた芝居小屋、八千代座(熊本県山鹿市)にて、その記念公演として「坂東玉三郎特別舞踊公演」が開催されます。

 今年は10月31日(日)より11月14日(日)までの15日間、『お目見得 口上』と歌舞伎舞踊の『羽衣』『吉野山』を上演。また本公演は、坂東玉三郎にとって、1990年に「八千代座80周年・復興記念」として始まってから20周年を迎える記念すべき公演でもあります。さらに八千代座初出演となる、中村獅童が共演することも話題です。

 公演に先立ち、坂東玉三郎、中村獅童が公演への想いを語りました。

坂東玉三郎
 八千代座の100周年という記念の年に、私が八千代座の舞台に立ち20年目を迎えることができましたことを大変嬉しく思います。この20年は本当に、あっという間でした。八千代座の良いところは、お客様との親近感、劇場と演者が一つになる事のできる大きさや形が備わっているところだと思います。そして、お客様にとりましても都会とはちょっと違った環境で観るというのも魅力ではないでしょうか。

 以前、八千代座で『羽衣』を上演したときに、花道の引込みがお客様のすぐ近くになりますので、天に上がっていく振りに独特の雰囲気がでて、皆さまがとても楽しんでくださいました。こういうものは芝居小屋独特のものだと思います。『吉野山』は道具や、花四天などを入れると、八千代座の舞台ではいっぱいいっぱいなのですが、その厚みや豪華さというのが小さい劇場だからこその味わいになるのではないでしょうか。

 今回は獅童さんとご一緒して二人で勤めて、一番お客様に楽しんでいただけるものをと思い演目を決めさせていただきました。『お目見得 口上』も二人でどんなことが話せるか楽しみです。充実した公演にしたいと思っておりますし、将来にもつながるような公演になればと思っております。


中村獅童
 こうした節目の年に参加させていただけるということは、非常にありがたいことですし、芝居小屋でお芝居をさせていただくこと自体初めてのことですので、今回歴史ある芝居小屋で舞台を勤めさせていただけることを今からとても楽しみにしています。

 日頃より、お客様がいらして役者が舞台に立っている生の醍醐味というものを大事にしています。各劇場や地方によって、お客様の反応は違いますし、八千代座にいらっしゃるお客様はとても熱狂的とうかがっていますので、お客様のエネルギーに負けないように演じていきたいと思いますし、小さな劇場ならではの臨場感を楽しみたいと思います。

 玉三郎さんからは子供の頃から多くの事を教えていただき、同時に多くの事に影響を受けてまいりました。そうして経験してきたこと、感じたことがなければ僕は俳優として存在しなかったと思っています。そうした偉大な先輩の相手役を勤めさせていただくのは非常にありがたい事ですし、今回も多くのことを勉強させていただきたいと思っています。

2010/05/29