玉三郎が語る金丸座(旧金毘羅大芝居)公演

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 10月31日(木)から11日間行われる金丸座(旧金毘羅大芝居)「坂東玉三郎特別公演 鼓童出演」について、出演の玉三郎と太鼓芸能集団「鼓童」の見留知弘が思いを語りました。

坂東玉三郎

金丸座にぴったりの地唄舞
 第一部は地唄舞。もともと座敷で三味線一丁と踊り手一人で踊る地唄舞は、金丸座の空間にしっくりとよく合い、昨年の公演でも好評を博しました。「今年は、劇場で観ていただくのは初めてとなる『鉤簾の戸(こすのと)』、遊女が鬱々とした時をふっと思い過ごす、風情のある曲です。『由縁の月(ゆかりのつき)』も同じで、人生の深みを見せる重みではなく、風情を唄っています。新しいもの、印象的なものをと選びました」と、玉三郎。

 「第二部に『アマテラス』があるので、こういうものがお見せできる。お客様に、しんみりとした風情に浸っていただいた後、太鼓の演奏で開放的になっていただけます」。今年2月パリのシャトレ座でも地唄舞の公演が絶賛を浴びましたが、そこではより静かな『雪』などが上演されました。「オペラハウスという空間で、静謐なものを楽しんでいらした」。劇場に合わせた選曲の大切さが伝わってきます。

 上方舞である地唄舞は、関西で修行した日本舞踊家の武原はんが歌舞伎座ほか東京で「舞の会」を成功させたのが、発展のきっかけだったのではと玉三郎は言います。「関西でしっかり修行しているわけではありませんが、ただ、踊ることを好んでいる歌舞伎俳優として長唄や清元、常磐津もあれば、地唄のものも踊る。踊りたいんです、名曲ですから」と謙虚に、しかしながら情熱と愛情を込めてそう語りました。

『アマテラス』のエッセンスを集めて
 幕間にしっとりとした余韻を残しながら、再び幕が上がると一転、力強い和太鼓の世界です。見留は「芝居小屋自体の雰囲気で、お客様の観る気分も大劇場のときとは違うのではないでしょうか。小屋全体が木でできているので、おそらく座っている床から振動が上がってくる感じになると思います。外壁も太鼓の音で震えていますから」と、金丸座での和太鼓演奏の迫力を語りました。

 「『アマテラス』を一幕の1時間ちょっとにまとめています。金丸座に合わせ、曲や楽器の数を見直して。アメノウズメは男性が演じますが、私の振りはほとんど変わりません。楽しく観ていただければと思います」と、7月から続く『アマテラス』公演の掉尾を飾る金丸座版アマテラス、『アマテラス幻想』について玉三郎が概容を話しました。

 これまで、当の玉三郎、鼓童も「不思議」と言うしかないほど、どの劇場も満席で立見席まで出る状態。「本当にありがたいことです」と口を揃え、「今回の上演で、『アマテラス』のある種の完成形をお見せできました。大きくて派手な作品なので、次の新作をとはなかなかいきません」。それほどのスケールの大きな作品だけに、芝居小屋での上演がどうなるのか、いっそう期待が高まります。

「坂東玉三郎特別公演 鼓童出演」

 昨年に続く2回目の玉三郎、鼓童の公演。「思ったより大きくて、舞台はやりやすい」という金丸座。見留は連続出演できることに感謝を述べつつ、「こんぴら様の地で演奏できるのがうれしい。木の小屋は音もいいですし」と、金丸座公演を心から楽しみにしている様子でした。昨年はメンバーが毎朝、金刀比羅宮まで走っていたそうで、「今年も」と、ここでも意気込みを見せました。

 金丸座(旧金毘羅大芝居)「坂東玉三郎特別公演 鼓童出演」のチケットは、9月27日(金)より、チケットWeb松竹チケットホン松竹にて販売です。


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2013/09/24