10日初日『婦系図』出演の春猿が「泉鏡花展」へ

市川春猿「泉鏡花展」

 10月10日(木)に初日を迎える三越劇場『婦系図(おんなけいず)』にちなみ、お蔦役を演じる市川春猿が、原作者の特別展「生誕140年記念 泉鏡花展―ものがたりの水脈―」を観覧しました。

 10月5日(土)から始まった神奈川近代文学館の「泉鏡花展」。そのオープン前日に稽古場から横浜へ駆けつけた春猿は、たっぷり1時間以上かけて館内を巡り、「鏑木清方先生の挿し絵を見て、『めの惣』の場はこんなにやつれた感じなんだと思いました。明日から稽古を変えないと」など、自分が演じるお蔦について、また、鏡花作品に対してたくさんのインスピレーションを受けたようでした。

 『滝の白糸』(平成22年10月三越劇場)に出演した際は、金沢市の泉鏡花記念館を訪れていた春猿。「今回は、これだけ集めるのは大変だったろうと思わせるほどの分量で、貴重な資料も多い。一つひとつが鏡花先生の作品の美しさ、魅力の源泉で、どれか一つがなくても作品が生まれていないのでは、と感じました。鏡花作品を世に知らしめるため、挿し絵を描き、本を装丁しよう...、著名な方たちをそのように魅了してしまう作品だと、あらためて思いました」。

 春猿が演じる舞台も、鏡花作品の素晴らしさを伝えるその一つに違いありません。「舞台は本と違って、ビジュアルを強制的にお客様にお見せするので、演じる側の責任も大きい。皆さんのイメージにある鏡花作品に近い形をつくり上げるのが、我々役者の使命です」と、気を引き締めました。

市川春猿「泉鏡花展」

『婦系図』の原稿や上演メモなどゆかりの品々が並んだコーナーで


 鏡花の生涯、作品を、生原稿や遺品などで立体的に構成した今回の「泉鏡花展」。春猿は、「泉鏡花の言葉の魔術、日本語の美しさに気づいてもらえるよいチャンスになる展示会です。展示会をご覧になって、鏡花作品を読んでみようかな、舞台を観てみようかなと思っていただければ」と話し、最後に「今回の舞台は、『婦系図』の"系図"に焦点を当てたつくりになっています。初めて新派の舞台をご覧になる方にも、すごくわかりやすく、また、鏡花先生の魅力もよく引き出されていると思います」と、公演をアピールしました。

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特別展「生誕140年記念 泉鏡花展
―ものがたりの水脈―」

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日程
2013年10月5日(土)~11月24日(日)
※月曜休館(10月14日、11月4日は開館)

開館時間 9:30~17:00(入館は16:30まで)

会場
神奈川近代文学館
神奈川県横浜市中区山手町110 電話045-622-6666

観覧料
一般:600円 65歳以上・20際未満および学生:300円 高校生:100円 中学生以下無料
※団体割引ほかあり

三越劇場『婦系図』

 三越劇場『婦系図』は10月10日(水)~25日(金)、チケットはチケットWeb松竹チケットホン松竹にて販売中です。

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2013/10/07