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「坂東玉三郎特別舞踊公演」を語る

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撮影:岡本隆史(2点とも)

 


 6月5日(木)から京都四條南座では、「坂東玉三郎特別舞踊公演」として、11日(水)まで「組踊と琉球舞踊」を、15日(日)~21日(土)は「地唄三題」を上演します。玉三郎が公演と作品への思いを語りました。

「坂東玉三郎特別舞踊公演」を語る運命を感じた『聞得大君誕生』
 沖縄の組踊とは「既存の曲と振りを並べ替えて筋立てにして見せるもの」で、歌舞伎と同じように音楽、踊り、せりふで成り立っています。約300年の歴史を誇る国指定重要無形文化財であり、ユネスコの指定する無形文化遺産でもあります。『聞得大君誕生(ちふぃじんたんじょう)』は芥川賞作家の大城立裕が書き下ろした作品で、昨年3月、東京と沖縄の国立劇場で上演されました。

 演者(立方)は琉球舞踊の型に沿った動きで踊り(所作)を見せますが、「女性でも外輪(足先を外側に向ける)で立ったりと、歌舞伎とまた違って独特なものです。その決まった形をなぞるだけで大変」と言い、「徹底的に様式化されているところは能楽にも似ている」と話しました。また、琉球独特の旋律に合わせてせりふを言う「唱え」は、昆劇を演じた玉三郎でも「難しい。でも、言葉はわからなくてもニュアンスはわかるので、思いを込めてやっています」と、真摯な姿勢で向き合っているのも印象的でした。

 玉三郎の演じる音智殿茂金(うとぅちとぅぬむぃがに)は、運命の恋が終わりを告げたとき、兄の琉球国王尚真(しょうしん)の命に従い、王国を守る神女となるべく我が身を捧げます。「私が今まで演じてきた女方にどこか通じるところがあり、脚本を読んだときにやれると思いました。自分に神が降りてくるのではなく、その役目を果たす宿命を背負う女...、私がやるのは不思議な縁かもしれません」。

華やかに見せたい『蓬莱島』
 もう一つの舞踊は『蓬莱島(ほうらいぬしま)』。「美しく栄えていた島に魔物が日照りを起こし、島が枯れる、そこへ女神がやってきて助けるという筋は、ニライカナイ伝説なのですが、ニライカナイの解釈が島によって変わるらしいので、題は『蓬莱島』としました。島を再生させる女神が、どこか、東京から来る女方とリンクすれば」と話し、「ずっしりとしたドラマにひたっていただいた後で、華やかなものを楽しんでもらえるように」と構成の意図を語りました。

曲が素晴らしい『地唄三題』
 平成6(1994)年1月、玉三郎が南座で初めて披露した地唄舞。「いろいろなものをそぎ落としてつくられた舞、しかも座敷舞。上方でできたものを関東の人間が関西で見せる...。失礼甚だしいけれど、そこは‟南座世界"に入って乗り越えていただきたい」。なぜなら「国や身分、性別を超えるのが‟芸能国、演劇国"だから」とは、あらゆる壁を超えてバレエや昆劇、琉球舞踊といった舞台に立つ玉三郎ならではの言葉です。

 今回の三題は、「遊女の世界を詠んだ歌詞が素晴らしい『鉤簾の戸(こすのと)』、長唄独吟から地唄になった『黒髪』、最後は道成寺物で引抜きもあって華やかな『鐘ヶ岬』。どれも曲がいい。地唄に限らず、音楽的に優れたものが舞踊として残ったのでは」と推察し、「舞踊は詩、和歌の世界。物語抜きで魂がスッと入っていく。脈絡がないけれど、私は脈絡がない人間なので」と笑顔で作品の魅力を語りました。

 「今回、気づいたんですが、組踊は現在進行形の演劇で、複式夢幻能形式がないんです。中国も意外に過去形がないけれど、歌舞伎や舞踊など古典は過去形が普通。『聞得大君誕生』は過去形のせりふが出てくる初めての組踊らしいです」など、さまざまな演劇を引き合いに縦横無尽に語った玉三郎。そこには「沖縄の舞踊を、触れたことのない人にお目にかけることも必要なのでは」と考える玉三郎の発信力の強さが感じられました。

 京都四條南座 「坂東玉三郎特別舞踊公演」は6月5日(木)に「組踊と琉球舞踊」、15日(日)に「地唄三題」が開幕。チケットは、チケットWeb松竹チケットホン松竹にて販売中です。

2014年04月15日

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