渋谷・コクーン歌舞伎『三人吉三』初日への意気込み

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 6月5日(木)、渋谷・コクーン歌舞伎第十四弾『三人吉三』の公開舞台稽古が行われ、出演の中村勘九郎、中村七之助、尾上松也、片岡亀蔵、笹野高史と、演出・美術の串田和美が翌日の初日を前に、あらためて意気込みを語りました。

 コクーン歌舞伎3演目となる『三人吉三』。「新たなスタートを切るつもりでやっていきます。題材が同じでも、俳優が違えば芝居が違い、空気感も違う。この三人ならではの『三人吉三』をつくれればいいと思います」と、決意も新たに語った勘九郎。お嬢吉三を演じる七之助は、「誰もがやりたいというお嬢吉三をやらせてもらえてうれしい」と続け、念願の吉三を演じる松也は、初のコクーン歌舞伎の稽古場を体験し、「あっという間でした。明日に向け、最高の形にできれば」と、少しでも前へ進もうという気持ちを込めました。

 そんな三人を見て亀蔵は「三人の演者がすっかり入れ替わり、とても新鮮です」と話し、笹野は「初めに出たときは周りが見えませんでしたが、今回は見えるようになりました。自分がどう変わるか、そして芝居がどう進化するか、見届けるのがこの1カ月の楽しみです」と続けました。

 勘九郎は今回の『三人吉三』の特徴は"若さ"にあると言い、「三人が若く、役の年齢に近いことで、物語の内容がお客様により届きやすくなっていると思う」と、稽古の手応えを感じている様子。歌舞伎の名場面の一つでもある「大川端の場」については、名せりふを語る七之助が「下座音楽がなく、テンポを自分たちでつくらなくてはいけないので難しいけれど、テンポを乱すことなく、気持ちで言えたらいい」と、意欲的に語りました。

 出演者たちの意欲的な言葉を聞いて、串田は「あのポスター撮影の時間が、本当に僕らにとってとてもいい時間だったと思います。若さ、今という時代、歌舞伎が進化するものだということが伝わってくる」と満足そうに語り、「初期の頃は珍しいもの扱いだったコクーン歌舞伎が、ここまで認知してもらえた。20年やってきたことが伝わったのかな」と、新しいコクーン歌舞伎の幕開けを実感しているようでした。

 渋谷・コクーン歌舞伎第十四弾『三人吉三』では、劇場窓口にて開場1時間前より、立見席の販売が行われます。どうぞご利用ください。

2014/06/06