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菊五郎が文化功労者に

菊五郎が文化功労者に

 10月30日(金)、政府より平成27年度文化功労者が発表され、尾上菊五郎が選出されました。

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若い頃に見ていた先輩俳優の境地に
 文化功労者という栄えある顕彰を受ける菊五郎は、記者会見の冒頭で、光栄に思うとともに「指導を賜りました、父(七世尾上梅幸)を含めた先輩の方々に、心より感謝をいたしております」と語り、表情を引き締めました。

 「青年から中年になる頃、思い切り楽しく演じていましたが、果たしてこれが本当の芸なのかと思いました。先輩方を見ていると、本当に力みなく演じていらっしゃる。ああなりたいと思っていても、舞台に出るとついやってしまう。壁のようなものを感じました。それが、いつの間にか力が抜けていく。不思議なものですね」。昭和23(1948)年4月に新橋演舞場で初舞台を踏んでから67年、現在の心境を率直に述べました。

もっともっと面白い歌舞伎を
 これからの歌舞伎に向けて力を注ぐこととして菊五郎が挙げたのが、「脇役の育成」です。「役をつけて力をつけさせ、今の若い人が表舞台に立ったとき、“面白い歌舞伎”にしてくれるよう育てることが、私の使命」と断言。「面白い歌舞伎」は、この会見で菊五郎がたびたび口にした言葉でした。「私が大好きな世話物の、重箱の隅をつつくような演技を、私だけでなく、周りにいる人たち全員がそうしてくれたら、もっと面白い歌舞伎になると思います」。

菊五郎が文化功労者に

 歌舞伎に疑問を持ち、どこか引っ掛かりがあって入り込めなかった若手の時代があったことにも触れ、「30歳くらいになって、先輩方が役を自分の肉体に取り入れ、心で演じ、その魂が歌舞伎の様式美になっているのを見て、自分の洞察力、観察力の鈍さに恥じ入りました。それから歌舞伎が面白くなりまして…」、今が一番面白いのかもしれないと言います。そして、その歌舞伎のもつ様式美、美しさ、肉体に裏付けられた、歌舞伎にしかないものこそが文化だと語りました。

“歌舞伎少年”はどこまでも進んでいく
 本当によく勉強していると、若手の台頭を頼もしく思い、歌舞伎がこれからどんな方向へ進んでいくのか、楽しみにしていると語った菊五郎。若さを保つ秘訣を聞かれて、「のんびり過ごす遊びの時間を大事にしている」と答え、苦手な夏はゴルフで毎日歩いているとも明かしました。

 「若々しい気持ちで、若い人に負けないように演じていきたい」と、舞台への貪欲さを見せる菊五郎ですが、文化功労者の一報が入ったとき、「舞台上にいたので、あとから何かいただけると聞いて、マイナンバーでもいただけるのかと思った」と、茶目っ気たっぷりに答えて会場を沸かせるところにも、若々しさがにじみ出ます。

 「(文化功労者が)私のゴールではございません。サッカー少年、野球少年のように、私も“歌舞伎少年”になりまして、目を輝かせ、心ときめかせ、大好きな歌舞伎をこれからも勤めてまいりたい」。功績を認められ、顕彰されてなお、少年のように突き進むと宣言する菊五郎は、ひときわうれしそうに「大好きな歌舞伎」の言葉に力を込めました。

2015年10月30日

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