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尾上右近『春の祭典』リハーサル公開

尾上右近『春の祭典』リハーサル公開

撮影:山口 敦(3点とも)

 

 9月8日(火)に上演される、東京 サントリーホール「日本フィル&サントリーホール とっておき アフタヌーン Vol.2『歌舞伎×オーケストラ』」で、尾上右近が『春の祭典』を舞うリハーサルが行われました。

 ぶどう畑形式といわれるサントリーホールのステージは、すべての客席からの視線が降り注ぐ場所。そこに、フルオーケストラとともに舞台に上がるのが右近です。山田和樹の指揮で、日本フィルハーモニー交響楽団がストラヴィンスキーの『春の祭典』を奏で始め、右近が登場してリハーサルが始まりました。

 

尾上右近『春の祭典』リハーサル公開

 前半は大地の胎動、息吹き、春の生命観を躍動感あふれる踊りで見せます。今回の作品では、カウントを取るのではなく音で覚え、振りを実際の演奏に合わせると言います。「オーケストラの音に振りをぴったり当てるところも多い」部分では、力強い跳躍や足拍子、スピーディーな踊りが強い印象を残し、歌舞伎舞踊と違って歌詞のない中、自然と戯れる様子が的確な振りで描かれます。

 

 後半は、生贄として捧げられる女性の踊りが目を引きます。右近は振付の尾上菊之丞の話から、たとえば「魔女が水晶の中に生贄の少女の絵を浮かべて笑っているところをイメージして」と、場面を自分の想像力で明確な絵にしながら踊ろうとしています。また、「一人の女性の鬼の部分と、生贄の部分、それぞれが見てわかり、しかもふっと変わる。説明的にならず、わかりすぎないように…」と、ストラヴィンスキーの不協和音に象徴される“折り合いがつかない感じ”の表現にも心を砕きます。

 

 「普段の舞踊とは違う動きもあり、日本舞踊の基本とも違うところもあります。歌舞伎舞踊を引用ではなく象徴的に用い、歌舞伎っぽいニュアンスもありつつ、創造することに重きを置いて踊るのが今回の作品です」と言う右近。「古典を重視しながらも、とらわれることなく、自分の心をどれだけ表現できるか、挑戦する価値の大きい公演になります」と、明日の本番に向けての意欲を力強く語りました。

 

※当日券は明日8日(火)11:20より、サントリーホール当日券売り場にてS席、A席が販売されます。

とっておき アフタヌーン Vol.2「歌舞伎×オーケストラ」公演情報はこちら

サントリーホール公式サイトはこちら

 

尾上右近『春の祭典』リハーサル公開

2015/09/07