ニュース

猿之助が博多座でお見舞い口上

 4月16日(土)、博多座で上演中のスーパー歌舞伎II(セカンド)『ワンピース』で、市川猿之助が平成28年熊本地震の被災地に向けお見舞いの口上を行いました。

 14日(木)夜から揺れの続いている九州で公演を行っている猿之助が、16日(土)の昼の部と夜の部の開演時に、ご来場のお客様を前に口上を述べました。

 

 初めに、熊本地震の被災地に向けてのお見舞いと、交通事情も不便になっているなか、ご来場くださったお客様への御礼を、出演者、関係者一同を代表して述べた猿之助は、続けて、「このようなときにこういう芝居を上演していいものか」、舞台人として思うところを語りかけました。熊本や大分とつながりのある関係者もおり、「なによりも『ONE PIECE』の原作者、尾田栄一郎先生の出身地が熊本でございます。そんななか、皆で話し合い、このようなときこそやるべきだ、お客様が一人でもいらっしゃるなら、俳優は絶対に舞台をやらなければならない」と、上演に至った経緯を明かしました。

 

 劇場には、被災されてご来場になれないお客様の席が空いていました。「この席は空席ではなく、来られなかった方の熱い熱い思いが詰まった席でございます。その分まで存分に楽しんでいただきたいと思います。皆様におおいに笑っていただき、おおいに楽しんでいただくことこそが、我々のできる精いっぱいの力だと信じております。客席と舞台が一体になることが、大いなる祈りになると私は信じております。いつにも増して一所懸命な我々の思いが皆様方、そして被災地の皆様に届くようにやらせていただきます」。

 

 さらに、第二幕で歌われる北川悠仁が書いた「TETOTE」の歌詞に触れ、「どんなに深い暗闇だとしても、明けない夜など絶対ありはしない、…手と手つないで、星に願うよ、という文句がございます。奇しくもこの今の状況の歌でございます。どうか皆様、これを口ずさんで盛り上がっていただきたいと存じます」と続けました。

 

 お客様に安心して楽しんでいただけるようにと、劇場の安全についても説明し、「どうか皆様におかれましては熱い熱いご声援、拍手でもってこの場を盛り上げていただきたい」とお願いをして、猿之助が口上を終え、スーパー歌舞伎II『ワンピース』の上演が始まりました。なお、幕間には出演者が募金を呼びかけ、集まった義援金を後日、被災地へ送ることになりました。

 

2016/04/17