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壱太郎、「歌舞伎夜話」で語った熱い挑戦の数々

壱太郎、「歌舞伎夜話」で語った熱い挑戦の数々

 

 

 6月23日(木)、「ギャラリーレクチャー 歌舞伎夜話(かぶきやわ)」に、中村壱太郎が登場しました。

 昨年は父、中村鴈治郎の襲名の年。「人生で初めて、12カ月ずっと本公演に出させていただきました。あっという間でした」と振り返ります。今年の「四国こんぴら歌舞伎大芝居」で襲名披露興行を締めくくり、5月、6月は歌舞伎の舞台を離れていましたが、「その分、今、歌舞伎に出たくて仕方ないんです」。歌舞伎座ギャラリーの舞台に掛けられたのれんを見て、「ここから(『菅原伝授手習鑑』「寺子屋」の)戸浪で出たい!」と、たぎる思いを語る様子には、お客様も思わず笑顔。「博多座も拝見したんですが、『熊谷陣屋』を見ながら客席で一人、“出たい、出たい”と気分が盛り上がってしまって…相模のお役、いつか挑戦したいです」。

 

壱太郎、「歌舞伎夜話」で語った熱い挑戦の数々

 『三人連獅子』(平成20年8月大阪松竹座)の熱い気持ちがあふれた思い出。「お母さんだから毛振りも優しく、と思っていたのですが、いざお客様が入ったら気持ちが燃えてきてしまって…」。パロディー尽くしの一風変わった復活狂言『邯鄲枕物語 艪清の夢(かんたんまくらものがたり ろせいのゆめ)』(平成26年5月明治座)の舞台裏や、新作袴歌舞伎の作・演出に挑戦した「趣向の華 若木公演」の回想にも話の花が咲きました。

 

 過去5回出演した「システィーナ歌舞伎」。せりふはもちろん、ダンスに歌にと、いつもとは違う稽古の様子を、軽妙な語り口で笑い話に変えます。『GOEMON』で披露した見事なフラメンコは記憶に新しいところですが、「僕がどうやって洋舞を踊っても、“歌舞伎が出る”のが面白いと思うんです。コラボレーションは一つのみどころですが、立廻りもあれば、義太夫の節もある。きちんと歌舞伎であることを見ていただきたいです」。どんな作品に出演しても、軸足はあくまで歌舞伎だと語りました。

 

 お客様からは「お姫様の役とおかみさんの役ではどちらが好きですか?」という質問が。「最近はいろいろな先輩方の女房役を経験して、しっかり組ませていただいている感じが楽しかったです。砥粉(とのこ)顔が似合うことにも憧れますね。もちろん女方として、きれいな格好ができるお役も大好きです」。

 

壱太郎、「歌舞伎夜話」で語った熱い挑戦の数々

 「ひと月の公演を通して、何か一つでも自分で気づいて前進したい」との思いから、自分の舞台をよく撮影し、見返しては研究していると言います。「録画を見て『ここはもっと注意しよう』と思った箇所が、次の日の映像を見ると、やっぱりできていない。思ったとおりにいかないのが面白いですね。興奮して、気持ちが先に立っているんです」。自分の後ろで舞台装置がどんなふうに動いているのかなど、俯瞰で見ると演出面の気づきも生まれるとのこと。

 

  4月と5月には、『三代目、りちゃあど』で現代劇の舞台に挑戦しました。「野田秀樹さんらしい目まぐるしい作品。しかも、日本人とインドネシア人とシンガポール人の俳優が、別々の言語を使いながら演じます。僕は衣裳もメイクも洋風ですが、歌舞伎の女方の演技。ひと言でいえば、カオスです」。稽古合宿をとおしてコミュニケーションの重要性を感じ、英語もあらためて勉強したとか。

 

 貴重な経験を糧に、「松竹大歌舞伎」東コースの舞台へ。「夏場のお姫様は(衣裳が分厚く、暑いので)戦いです。特に(『晒三番叟』の)如月姫は、動きの多いお姫様なので…頑張ります」。誰よりも舞台が待ちきれない様子の壱太郎に、会場からは大きな拍手が贈られました。

2016/07/04