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「新春浅草歌舞伎」出演者が来年への意気込みを語る

「新春浅草歌舞伎」出演者が来年への意気込みを語る

 

 

 来年1月2日(月・休)から始まる、浅草公会堂「新春浅草歌舞伎」に出演の尾上松也、坂東巳之助、中村壱太郎、中村隼人、そして中村錦之助が、公演に向けての意気込みを語りました。

「新春浅草歌舞伎」出演者が来年への意気込みを語る

 中心となる出演者がひと世代若返り、一新したのが、昨年の正月。「来年はまた少しメンバーも変わりますが3年目。初めての公演がついこの間のようですが、もう一段階、ステップアップした自分たちを見てもらえるようにしていきます」と、松也が口火を切りました。

 

若いお客様に古典を楽しんでいただきたい

「新春浅草歌舞伎」出演者が来年への意気込みを語る

 幕開きは『傾城反魂香』。「新春浅草歌舞伎」初出演の平成20(2008)年に修理之助を勤めた巳之助が、又平に初挑戦します。「自分にとって浅草歌舞伎の原点でもあり、大きい役はほぼ初めてといっていい頃だったので、役者としての原点でもある演目を勉強させていただきます」と特別な思いを語り、その修理之助を今回勤めるのが梅丸ということもあり、「先輩、後輩の関係も意識し、自分もまだ若手ですが、新しい世代が出てくるなかで、自分も成長していけたら。誠心誠意勤めます」と続けました。

 

「新春浅草歌舞伎」出演者が来年への意気込みを語る

 しゃべるのが不自由な夫、又平を助けるのが女房おとく。「憧れのお役の一つ」という壱太郎は、夫がしゃべらない分、おとくは「しゃべり、せりふが眼目。きっちりとした古典の時代的なもののなかに、せりふをどう世話にしていくのか、駆け引きが難しい。しっかり学び、心情をのせてお客様に伝えていきたい」と初役への意欲を語りました。巳之助は夫婦愛という「普遍的なテーマを、歌舞伎らしい表現方法で」、浅草の若いお客様にも受取ってもらうことも大切と加えました。

 

「新春浅草歌舞伎」出演者が来年への意気込みを語る

 続く『吉野山』の佐藤忠信は松也。「忠信の物語のくだりが好きです。『義経千本桜』という大きな作品、やりがいがあり、光栄でもあります」。壱太郎は静御前。「清元で勤めるのは初めてです。女武者の強さと姫のたおやかさ、その出し引きと踊り分けが重要になります」。二人の間に入る早見藤太が巳之助です。「明るく出てきて、賑やかに場を盛り上げる道化役です」と、又平とまったく異なる役柄でお客様を楽しませます。

 

勉強したことを自分の中に入れてお客様に届ける

 第二部は『角力場』から。「初めてひと月、芝居の芯となる役を勤めたのが、平成20(2008)年のこんぴら歌舞伎での長吉と与五郎でした。とても思い出深い作品です」という松也は今回、放駒長吉の一役で、錦之助の濡髪に立ち向かっていきます。与五郎は隼人で、「いわゆる、つっころばしの役で、もっと上の年齢の方がなさることが多いですが、自分は背丈があるので体の殺し方、使い方を勉強し、濡髪との対比を出したいと思います」と目標を掲げました。

 

「新春浅草歌舞伎」出演者が来年への意気込みを語る

 濡髪と与五郎で共演する錦之助と隼人の親子が、さらにがっぷり四つに組むのが、次の『御存鈴ヶ森』です。昨年7月の大阪松竹座で初めて演じた幡随院を再度勤める錦之助は、「びっくりしました。普段は権八のほうが得意とする役なのですが、まさか息子と。お客様に楽しんでいただければと思いますが、舞台上では役者同士として、大きな長兵衛になるように勤めます」と意気込みを語りました。一方の隼人も、吉右衛門と十八世勘三郎の舞台を見て以来、憧れの演目だったと言い、「だんまりの立廻りがしっかり伝わるようにしたい」と貪欲に挑みます。

 

 最後は『棒しばり』。松也は自主公演で勤めたことはありますが、「一日きりであっという間だったので、今回はあらためて踊り込み、体にもう一度踊りを入れ直すつもりで勤めます」。昨年8月に歌舞伎座で勘九郎を相手に太郎冠者をひと月踊った巳之助が、「二人で一緒につくっていく踊りですから、相手が松也の兄さんになり、また違った踊りになると思いますので楽しみです」と言うと、「初役ですが、二人に負けない雰囲気を出して飛び込んでいきます」と松兵衛役の隼人も語り、「新春浅草歌舞伎」らしい若さあふれる一幕に期待がふくらみました。 

 浅草公会堂「新春浅草歌舞伎」は、2017年1月2日(月・休)から26日(木)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットWeb松竹スマートフォンサイトチケットホン松竹にて、11月20日(日)10:00より販売予定です。

2016/11/19