ニュース

超歌舞伎2年目の盛況、『花街詞合鏡』開幕

超歌舞伎2年目の盛況、『花街詞合鏡』開幕

 超歌舞伎『花街詞合鏡』 左より、初音ミク、中村獅童

 4月29日(土・祝)、千葉県 幕張メッセ「ニコニコ超会議2017」で、超歌舞伎『花街詞合鏡(くるわことばあわせかがみ)』が開幕しました。

 2年目の超歌舞伎は、NTTやドワンゴによる最新技術をはじめ、あらゆる意味で昨年を超える形で幕を開けました。イベントホールの2階、3階席が、開演の1時間も前からどんどん埋まっていきます。そして、龍神塚からこの世によみがえった青龍が蔭山新右衛門(國矢)に乗り移る「発端」の場で、物語の幕が上がりました。

 

超歌舞伎2年目の盛況、『花街詞合鏡』開幕

 超歌舞伎『花街詞合鏡』 左より、中村獅童、澤村國矢

 昨年の活躍もあって、國矢の登場とともに「紀伊国屋」のかけ声が会場から一斉に上がり、舞台左右のスクリーンも応援コメントがあふれました。かけ声のタイミングもぴったりです。幕が引かれ、獅童の「口上」では、コンサート会場さながらの盛り上がりに。初音ミクの登場で、その像の美しさとリアル感には驚きの声が上がりました。

 

 舞台上方の巨大スクリーンには、今年もせりふが字幕表示されました。舞台背景として映し出される廓の風景は、鳥のように自由に飛び回る視線で描き出され、豪華絢爛な表の世界とは裏腹に、自由を奪われた囲われの身である遊女たちの心の内との対比も鮮やかです。季節や場面の変化をダイナミックに表現し、字幕とともに物語の進行をわかりやすくしているところは、超歌舞伎の大きな特徴の一つでしょう。

 

超歌舞伎2年目の盛況、『花街詞合鏡』開幕

  超歌舞伎『花街詞合鏡』 初音ミク

 葛城太夫(蝶紫)の花魁道中を憧れの目で見つめる未来(初音ミク)が見せる踊りは、動きだけでなく、衣裳や髪のディティールまでリアリティーにあふれ、昨年からの進化が一目瞭然。月日が流れ、初音太夫として見せる花魁道中は、外八文字の歩き方まで葛城太夫の道中そっくりです。

 

 伊達男の八重垣紋三(獅童)と新右衛門の対決は、客席を巻き込んでの演出。留め女として喧嘩の仲裁に入る仲居重音(重音テト)には、可愛いの声しきりでしたが、重音の持ってきた手紙が原因で、紋三と新右衛門たちは斬り合うことに。超歌舞伎の大きなみどころとなる大立廻りが始まりました。

 

超歌舞伎2年目の盛況、『花街詞合鏡』開幕

 超歌舞伎『花街詞合鏡』 上段、中村獅童/下段、初音ミク

 紋三は新右衛門の手下たちを相手に、歌舞伎のさまざまな形の立廻りを見せていきます。高さも利用して立体的な大立廻りが続きました。さらに、舞台の上手と下手に分かれた紋三と新右衛門がともに分身の術を使い、二人は離れながらにして、分身どうしが斬り合う形の立廻りも見せました。深手を負った新右衛門の体からは青龍が現れますが、この隈取にもぜひご注目ください。リアルな俳優の演技とバーチャルの映像の融合にも、昨年にはなかった演出が行われていました。

 

 花魁の悲哀と恋心は美しさと切なさ、伊達男の因縁の戦いは激しさと大迫力、二つの要素がそれぞれ超歌舞伎でしか見せられない方法で描き出され、2年目の超歌舞伎の第一目が幕を降ろしました。

超歌舞伎2年目の盛況、『花街詞合鏡』開幕

 1回目の上演を終えた獅童は客席の様子を見て、「我々も楽しんでやらせていただいています。つくったかいがありました」と、大いに手ごたえを感じていました。「ミクさんは去年初めて歌舞伎に出て、日本舞踊の稽古に入ったとか。1年で踊りが本当にうまくなって、これは天才じゃないかと。お美しいし、ご一緒させていただけるのがうれしい」と共演者を絶賛。「相手がバーチャルなので、息を合わせるところは難しいですが、ミクさんのせりふの間などもだいぶわかってきました」。

 

 「(昨年の超歌舞伎)1回目は我々にとっても挑戦でした。いつもやっている歌舞伎が、デジタルにどう融合していけるかの挑戦でしたが、先人の残してくださった化粧、衣裳などはどこに行っても舞台映えする、芝居においても融合ができる。一つの証明になりました。今年はさらにパワーアップした舞台をお見せしたい」。超歌舞伎の舞台は、幕張メッセの大きなイベントホールですが、「これだけの大会場でも、歌舞伎の色彩は映える」。

 

 獅童は超歌舞伎への挑戦が、古典歌舞伎について考えるきっかけになった、勉強になったと語りました。「歌舞伎も江戸時代は、現代劇として大衆を魅了した庶民の芸能です。現代のサブカルチャー、バーチャルとその歌舞伎が融合することは、意味があることではないでしょうか。古典の伝統を守りつつ、伝統と革新を追求する、それが、中村獅童の生き方です」。力強い言葉を残して獅童は次の舞台に向かいました。

 超歌舞伎『花街詞合鏡』は、「ニコニコ超会議2017」の会場、幕張メッセイベントホールで30日(日)も、13:00と16:00に上演されます。

 

「超歌舞伎」生放送の予約はこちら

※事前に会員登録(無料)、またはプレミアム会員登録(月額:税込540円)が必要です。無料会員もタイムシフト予約は可能です。プレミアム会員は、高画質映像で見ることができ、回線混雑時も優先視聴ができます。

「ニコニコ超会議2017」公式サイト

「超歌舞伎Supported by NTT『花街詞合鏡』」特設サイト

 

超歌舞伎2年目の盛況、『花街詞合鏡』開幕

 超歌舞伎『花街詞合鏡』 舞台上方のデカオー丸には、来場者の隈取顔が映し出されました

2017/04/30