ニュース

菊之助がインド大使を表敬訪問

菊之助がインド大使を表敬訪問

 左より、スジャン・R・チノイ駐日インド大使、尾上菊之助。菊之助が演じる迦楼奈(カルナ)の扮装写真にサインを入れてプレゼント。「素晴らしいカルナ像だ。神様のようにも見え、ガンジス川の景色になじんでいますね」と称えられました

 9月7日(木)、在日インド大使館に、尾上菊之助が駐日インド大使のスジャン・R・チノイ大使を表敬訪問しました。

 8月に在インド日本大使館で、日印文化協定発効60周年を記念して舞踊『鐘ヶ岬』を披露した菊之助が、10月の歌舞伎座「芸術祭十月大歌舞伎」で上演する日印友好交流年記念『極付印度伝 マハーバーラタ戦記』の後援御礼のため、東京 千代田区にあるインド大使館を訪れました。

 

 「日印文化協定発効60周年、日印友好交流年という節目の年に奇しくも、インドの皆様が大事にしていらっしゃる『マハーバーラタ』を歌舞伎にさせていただくことができ、インド大使館のご後援をいただき、本当に感謝しています」。菊之助がインド大使館の後援に対しお礼を述べると、「光栄です」と笑顔を返したチノイ大使。続けて、「(インドの伝統舞踊)カタカリとともにパフォーマンスをされたとうかがい、とても感嘆いたしました」と語り、和やかな雰囲気のなかで対話が始まりました。

 

日本とインドをつなぐ『マハーバーラタ戦記』に

 『マハーバーラタ戦記』上演について、「インドと日本の人々を近づける素晴らしい功績。昔から両国には仏教のつながりはありますが、現代において文化の融合を起こしていることがたいへん素晴らしい」と、大使は菊之助を称えました。それに恐縮しながらも菊之助は、「両国が友好を深められるように、これからもっともっと文化的な交流ができればいいなと思っております」と力強く語りました。

 

 「インドの方にも見て楽しんでいただける作品にしております。大使も歌舞伎座へお越しいただけるとありがたいと思っているのですが」との菊之助の誘いに大使は、「ぜひ、時間を見つけてうかがいたい。今年は日印友好交流年、伝統的な文化の交流について私もできるだけ知りたいと思っています」と応えました。

 

 菊之助が太陽神の子、カルナを演じることについて、「太陽はたいへん力のある神様とインドでは思われています。日本でも太陽は力強さの象徴ではないでしょうか。共通するところがありますから、とてもよいお役をなさるなと思いました」との大使の言葉には、菊之助も自然と笑顔になりました。「カルナは戦いを止めなければいけないという使命を負ってストーリーが進んでいきますが、最後はご覧になった方にすっきりしていただけるように工夫しています」。

 

菊之助がインド大使を表敬訪問

インドと日本の近しい関係

 日本とインドの共通点として大使が挙げたのが、「マハーバーラタ」にもある「自然への尊敬、自然を保存しようという気持ち。ガンジス川を神様として見るようなところ」。これには菊之助も、先日のインド訪問で祈りの儀式、アルティーを見学したとき、「自然への敬いと、ガンジスをきれいにしましょう、汚してはいけないとお祈りするのが、素晴らしいと思っていました」と、共感を表しました。

 

 「七福神のうちサラスヴァティー(弁財天)、シヴァ(大黒天)など少なくとも3神は、インドからきています。また、ラクシュミー(吉祥天)、ガネーシャ(聖天)もそう。これらは文化的な仏教のつながりから来たことだと思いますが、日本とインドは考え方なども近しい国です」。大使はあらためて両国の深いつながりについて語り、大使館内に置かれた本や装飾品について日本との関連を交えながら菊之助に説明しました。

 先日の訪問で初めてインドの地を踏んだ菊之助の、「人々の持つパワー、神への信仰心を見るにつけ、もっとインドのことを知りたくなり、インドが好きになってまた行きたくなりました」という率直な感想に、「それは、インド人が物質世界と精神世界のバランスがとれているということでしょう」と、インドの魅力を語った大使。このあとは文部科学大臣と会い、翌日には安倍首相のインド訪問に合わせてインドへ発つという、多忙なチノイ大使とのひとときは、菊之助にとって測りきれない貴重な時間となりました。

 

 歌舞伎座「芸術祭十月大歌舞伎」は10月1日(日)から25日(水)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットWeb松竹スマートフォンサイトチケットホン松竹にて、9月12日(火)発売予定です。

 

 

『極付印度伝 マハーバーラタ戦記』特設サイト

2017/09/07