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「四国こんぴら歌舞伎大芝居」出演者が語る

「四国こんぴら歌舞伎大芝居」出演者が語る

 

 

 4月7日(土)より始まる、香川県琴平町の旧金毘羅大芝居(金丸座)「四国こんぴら歌舞伎大芝居」で、襲名披露を行う八代目中村芝翫、四代目中村橋之助、三代目中村福之助と、中村梅玉が、公演に向けての意気込みを語りました。

「四国こんぴら歌舞伎大芝居」出演者が語る

 一昨年の10月歌舞伎座から始まった襲名披露、「芝翫という大きな名前を頂戴し、息子ともども襲名ご披露できることに感謝申し上げます」。19年ぶりのこんぴら歌舞伎出演の芝翫にとって、金丸座は特別な場所です。「『夏祭浪花鑑』(平成5年5月)をやっているときに串田和美さんがいらして、シアターコクーンでこういう芝居小屋のようなものができたら、と話していたことがコクーン歌舞伎につながりましたし、南座で復活させた『小笠原騒動』を決めたのもこんぴら歌舞伎のときでした。僕の原点になっています」と、琴平に思いを馳せました。

 

『鞘當』では金丸座初の劇中での口上も

 襲名披露する橋之助、福之助はこんぴら歌舞伎初登場。『江島生島』で幕を開け、続いて、仮花道が常設されている金丸座にぴったりの『鞘當』で、親子三人がそろいます。劇中での口上は、こんぴら歌舞伎初。父(七世芝翫)はこんぴら歌舞伎10周年、15周年の「口上」で、挨拶のあとマイクを握って長い話をしていたと振り返った芝翫は、「皆がそろうので華やかな演出になるのでは。ちょっと面白いことができたらと、楽しみにしています」と笑顔を見せました。

 

「四国こんぴら歌舞伎大芝居」出演者が語る

 橋之助はこの『鞘當』で、「梅玉のおじ様の名古屋山三で不破をさせていただけるのは夢のよう。心して勤めないといけないと、父に言われました。おじ様のお胸を拝借し、いろんなものを盗んでおおいに勉強したい」と、目を輝かせました。

 

「四国こんぴら歌舞伎大芝居」出演者が語る

 3回目の宗五郎を勤める『魚屋宗五郎』、芝翫は「大事にしていきたい作品」と、気を引き締めました。奴三吉は福之助です。「大学生になって最初に出たお役です。そのとき、手も足も出ず、父にリベンジさせていただきたいと言ってきたのが実現するのでうれしいです。先輩方の息遣い、雰囲気を間近で学ばせていただき、精いっぱい勉強したい」と、意欲を見せました。

 

襲名披露狂言が続く第二部

 第二部は、『義経千本桜』「鳥居前」から始まります。忠信実は源九郎狐に橋之助。「襲名では梅王丸、『対面』の五郎に引き続いてこの忠信、本当にうれしいです。忠信は引込みに狐六方がありますが、幕外で六方をさせていただくのは人生初。楽しんで勤めたいと思います」。福之助は弁慶です。北京公演で早見藤太を勤めた折、「弁慶は兄で、ずっとそばで見ていました。そのお役をやらせていただくのが楽しみです」と、うれしそうに語りました。

 

 『鎌倉三代記』は、梅玉の三浦之助に魁春の時姫とそろうなか、芝翫は高綱を「いつもの水入りでぶっ返る形ではなく、菱皮の頭、仁王襷(たすき)で、残っている数少ない私ども芝翫型で、やらせていただこうと思っております。仁王襷だと普通に井戸から出にくいかと思うので、花道の付け根にある空井戸を使ったらどうかなと、金丸座ならではの演出を考えているところです」。

 

 打ち出しは「若手のフレッシュさで勤めたい」(橋之助)、「お帰りのお客様の話題に、福之助というワードが入るように勤めさせていただきたい」(福之助)と、意気込む二人と松也の『石橋』。これまでの「襲名披露口上」で舞台面の絵を描いた朝倉隆文が、新たに舞台面を描くのも注目です。

 

「四国こんぴら歌舞伎大芝居」出演者が語る

芝居だけではない楽しみの詰まった琴平の町

 親子の襲名披露すべてを見守ってきた梅玉は、「襲名で大事なのは、大きな役をやらせていただいて成果を出すこと。父(六世歌右衛門)が、襲名はスタートライン、襲名の後の舞台がちゃんとできないといけない、と言っておりました。幸ちゃん(芝翫)はもとより、今回は出演しない三男の歌之助を含め、兄弟三人とも勉強家ですから、将来はいい歌舞伎俳優になってくれると思います」と、やさしい眼差しを向けました。

 

「四国こんぴら歌舞伎大芝居」出演者が語る

 琴平町のマスコットキャラクター「こんぴーくん」も正装で駆けつけ、出演者とともに意気込みのほどを見せました!

 そして、梅玉自身は7年ぶりのこんぴら歌舞伎、「大好きな金丸座、大好きな琴平の町。芝居が終わった後、ことでん(電車)に乗ると夕方の田園風景がすごくいい。毎日往復して、夜は温泉にゆっくり入って、ひと月楽しみたい」と、琴平の魅力にふれました。橋之助と福之助は長い階段を昇る、こんぴら参りを約束。こんぴら歌舞伎に思い入れの強い芝翫は、「親子襲名で子どもたちは初めてのこんぴら歌舞伎、その中でまた新しい発見ができたら」と、期待を寄せました。 

 旧金毘羅大芝居(金丸座)「四国こんぴら歌舞伎大芝居」は、4月7日(土)から22日(日)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットWeb松竹スマートフォンサイトチケットホン松竹で2月25日(日)発売予定です。

 

「四国こんぴら歌舞伎大芝居」出演者が語る

 「第三十四回 四国こんぴら歌舞伎大芝居」 左より、安孫子正松竹株式会社副社長、宗生改め三代目中村福之助、国生改め四代目中村橋之助、橋之助改め八代目中村芝翫、中村梅玉、小野正人琴平町長

2018/01/24