勘三郎 水天宮で成功祈願

十二月大歌舞伎

 中村勘三郎が、歌舞伎座「十二月大歌舞伎」で『水天宮利生深川 筆屋幸兵衛(すいてんぐうめぐみのふかがわ ふでやこうべえ)』の船津幸兵衛役を初めて演じることになり、10月28日(日)作品の由来ともいえる水天宮に参拝し、成功祈願をおこないました。

 大勢の参拝客を前に、「この『水天宮利生深川』を十二月に歌舞伎座で上演し、今年の仕事納めとします。人の世の儚さと、人の優しさを感じられ、そして何よりもこの水天宮様が守ってくださるというお芝居でございます。お時間ございましたら、ぜひ劇場に足をお運びください」と、挨拶。

 続いて取材陣の質問に答えて、
「うちの親父(十七世勘三郎)の当たり役でした。また同時に、非常に思い出深いお芝居で、一番最初にうちの親父に舞台の上で殴られたのもこれですし、これがなかったら、うちの女房(好江夫人)とも結婚してない(笑)。」昭和55年の5月に歌舞伎座で先代が上演した際、お雪役で出演していた中村福助を送り迎えをしていたのが福助の姉の好江さんで、一目惚れをしたという。

 「初デートをして、うちのお袋に紹介したんです。すごく喜んでくれたんですが、3日後に、そのお袋が倒れて・・・この舞台は、僕の人生での嬉しい事と悲しい事が一緒になった役。だから、この役をいつかやらなくてはいけない、やりたい、と思い続けていました。

 幸兵衛はうちの親父の専売特許のような役で、親父の演技に、お客さんがかわいそうって、舞台へ“乳飲み代”ってお金持ってきたってことも(笑)。」

 最後に「難しくなく、普通に見ていただければ判るお芝居です。“散切物(ざんぎりもの)”で、ちょんまげを結ってない人もでてきますから。そんな歌舞伎めずらしいでしょ。これは昼の部ですが、夜の部にも出演しています。ぜひ、師走の歌舞伎座へいらしてください。」とメッセージ。

 勘三郎は他に、夜の部で『寺子屋』松王丸と『ふるあめりかに袖はぬらさじ』岩亀楼主人役を勤めます。歌舞伎座「十二月大歌舞伎」をお楽しみに。

十二月大歌舞伎

2007/11/01