梅玉 紫綬褒章を受章

梅玉

 平成19年度秋の褒章で、中村梅玉が紫綬褒章を受章することが決定し、歌舞伎座で記者会見を行いました。

 「本当に、思いも寄らないことで、ただただ有難く、自分がいただいていいのかなという気持ちもいたします。また、喜びと同時に、いただける年になっちゃったのかなというような気もいたしています(笑)。

 亡くなった父(六世歌右衛門)は、「歌舞伎役者は60歳を超えてからが勝負。それからが本当の役者になれるかの区切り」と申しておりました。去年、還暦を迎えましたときに、“やっと歌舞伎役者の成人式を迎えられたかな”という気はいたしましたけれど、それに続いて、今年こんなに立派な賞をいただくことになり、これからの修行の励みにもなります。と同時に、歌舞伎のことを考え、歌舞伎を盛んにしていくための仕事もしていきたいと思っております。」

初舞台から半世紀―――
 「そうなんです。ちょうど去年60歳になったときが、昭和31年の初舞台から50年。私は不器用なものですから、歌舞伎一筋にやってまいりました。それが父の教えでもあり、父の敷いてくれたレールの上をただ、ひたすらに歩き続けた50年という感じです。そしてこれからも、“前髪の似合う”役者でいたいと思っています。老け込まずに(笑)。」

歌舞伎のために―――
 「自分が先輩に教えていただいた“芸の骨格”、そういうものを後輩の人たちに伝えていきたいと思っています。歌舞伎は、その時代その時代で変わってきているものですから、江戸時代にやっていた事を、そのままやってるわけではありません。新しい歌舞伎が出てくるのは私も賛成です。

 でも、歌舞伎の練り上げられた型というものは大事にしなきゃいけない。それを自分のものにしてから、自分なりの工夫で、今のお客様にインパクトを与えられるようにすればいいんです。100年以上の間に先輩たちが作り上げて練り上げてきた型は、やっぱり守っていかなくてはならないと私は思っています。」

小学生のための歌舞伎体験教室について―――
 「伝統歌舞伎保存では、「小学生のための歌舞伎体験教室」というイベントが毎年夏に行われ、私が指導監修を行っています。歌舞伎をなるべく若い子供たちに知ってもらって、体験してもらうという思いから始まりました。

 年々反響が大きくなって、申し込みがたくさん来るようになりました。子供たちは吸収する力がすごくあるんです。歌舞伎を体験すると、感性で自分の体の中にいれていく。それはすばらしい事だと思います。

 体験教室と言っても、教わった事をただやるという事よりも、体験してみて自分で表現してみようって、そういうところを生かしたいと思っています。」

前髪が似合う役者として―――
 「十五代目羽左衛門さんは、若い頃からの究極の目標、神様みたいな方です。もちろん、写真だけでしか拝見していない方だけれども、なにしろ70歳を超した舞台姿も、本当にみずみずしくて、若々しくて、いい男。自分のレパートリーは若衆役・二枚目系ですので、一歩でも近づけるように、これからも修行をしていきたいと思っています。

 新歌舞伎も好きです。真山青果先生や岡本綺堂先生の作品の役をやらせていただく機会もこれから増えればと思っています。」

 中村梅玉は11月歌舞伎座「吉例顔見世大歌舞伎」で、『種蒔三番叟』に出演しています。ますますの活躍が楽しみです。

梅玉

2007/11/06