吉右衛門 比叡山で成功祈願

 「中村吉右衛門奉納公演 比叡山薪歌舞伎」が7月19日(土)に初日を迎えます。世界文化遺産"延暦寺"での歌舞伎公演は平成17年以来3年ぶり3回目。今年は中村吉右衛門奉納公演と題し、戦で子を失った母親の悲しみを描いた中村吉右衛門主演の舞踊劇『藤戸』、中村芝雀による『近江のお兼』、中村福助による『舞妓の花宴』が上演されます。公演を前日に控えた18日(金)、中村吉右衛門ら出演者が、比叡山延暦寺 国宝・根本中堂で護摩焚き法要を行い成功を祈願しました。

吉右衛門―――
 比叡山での薪歌舞伎は第1回目、坂田藤十郎さんが『最澄』を演じられた時に、『橋弁慶』で出させていただきました。今日と同じように薬師如来様に祈願させていただいた事で、大変気持ちよく勤めさせていただいたことを思い出し、本日もまた、とてもすがすがしい気持ちになりました。その時、牛若丸で出てくれたのが壱太郎さんでしたが、もうすっかり大きくなられて...月日の経つのは早いものだなと感じております(笑)

 今回勤めさせていただく『藤戸』は、戦争で一番傷つくのは普通の方々、この場合では一人息子を亡くした母親なのですが、その殺された息子の恨みが、祈りによって成仏していくという平和を願った舞踊劇です。この比叡山で上演させていただくには、まさにぴったりの作品ではないかと思っています。歌舞伎座の時とは少し演出を変えて、屋外の景色や夜の木々に映る照明なども楽しんでいただければと思っております。

 公演は25日(金)まで。野外公演ならではの演出で幻想的な舞台を楽しむことができる「中村吉右衛門奉納公演 比叡山薪歌舞伎」。ぜひ、ご期待ください。

2008/07/19