仁左衛門が「松竹大歌舞伎 西コース」への思いを語りました

仁左衛門が『松竹大歌舞伎』西コースへの思いを語りました


 8月31日(水)~9月25日(日)、(社)全国公立文化施設協会主催「西コース 松竹大歌舞伎」が上演されます。演目は『雨の五郎』『義経千本桜 茶店 すし屋』、出演は片岡仁左衛門をはじめ、片岡秀太郎、片岡孝太郎、片岡愛之助、坂東竹三郎、坂東薪車、市川高麗蔵、坂東彌十郎と華やかな顔ぶれの公演です。上演に先立ち、『義経千本桜 茶店 すし屋』でいがみの権太を勤める仁左衛門が、公演への思いを語りました。

片岡仁左衛門
 一昨年(平成21年)東コースの巡業にうかがって、各地の皆様の大変な熱気を肌で感じて参りました。そして、さらに多くの方々にこの感動を味わっていただきたいと願っておりましたので、今年また巡業におうかがいできることを大変嬉しく思っています。今回は東日本大震災の後の公演でございます。自粛の精神も必要ですが、日本を活気づけ、被災地の皆様のお力になることも大切です。そのためには文化も大事、皆様の気持ちが活気づいていただけるように頑張りたい、そして歌舞伎の底力を皆様にお見せしたいと思っています。

 『義経千本桜 茶店 すし屋』は私独自の台本になります。今の時代、何を訴えるかを絞ってお伝えしないと、なかなかお客様の気持ちを掴まえることが出来ません。ですから、物語を権太一人に絞り、権太の愛情を強調しています。権太には様々な愛があります。親を慕う気持ち、自分の家族への愛、そして主人への忠節、このお芝居はそのバランスが良く描かれています。権太の愛情を強調する事で、最後に起こる悲劇がさらに際立ってくるのではないでしょうか。

 今回の公演は歌舞伎初心者の方にも十分にわかっていただけて心に残る、そして歌舞伎の醍醐味がたっぷりと味わえるとても良い狂言立てになっています。私達役者はお客様が喜んで下さった雰囲気を吸収した時に生き甲斐を感じます。お客様の反応が支えです、ぜひ大勢のお客様に足をお運びいただきたいと思っています。

仁左衛門が『松竹大歌舞伎』西コースへの思いを語りました

2011/06/28