亀治郎が『當世流小栗判官』ゆかりの遊行寺で成功祈願

 

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▲ 長生院の小栗判官の墓に参拝する亀治郎。隣には照手姫の墓もある

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▲ 公演成功の祈願後、遊行上人と


  市川亀治郎が10月新橋演舞場「芸術祭十月花形歌舞伎」猿之助四十八撰の内『當世流小栗判官(とうりゅうおぐりはんがん)』で初役に挑むにあたり、判官照手姫にゆかりの深い神奈川県藤沢市にある遊行寺で成功祈願を行いました。

 「貴種流離譚という、高貴な人が落ちぶれやがて復活するというお話が、庶民に愛され、大切にされているということは、日本文化にとってとても大事なことだと思います」という亀治郎は、補綴・演出の石川耕士氏とともに、判官照手姫を祀った墓のある長生院を参拝したのち、小栗判官を助けた上人の寺、遊行寺の本堂で公演の成功を祈願し、作品への思いを語りました。
 

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演目について――
亀治郎 「<猿之助四十八撰>のうち<復活通し狂言十八番>では『金幣猿島郡(きんのざいさるしまだいり)』(2010年2月博多座)、『加賀見山再岩藤(かがみやまごにちのいわふじ)』(2010年3月南座)に次ぎ、手がけるのは3本目となります」

再演に当たって――
亀治郎 「僕が見ていたころの初演が目に残っているので、なるべく初演に戻してやりたい。猿之助の伯父に相談して"進化した再演"をやらせていただきます。子ども心に難しい馬術問答より、早く馬の碁盤乗りが見たい、浪七の立廻りが見たい、宙乗りが見たいと思った、その子ども心を僕は大切にしたかったのですが、猿之助の伯父から送られてきた台本は、そのとおりになっていました」

石川 「時代も変わっており、亀治郎さんが演じられるので、猿之助さんの初演(1983年7月歌舞伎座以降の京都、名古屋、大阪公演まで)以来の、見染める人と見染められる人の2役を早替りでする見染めの場面をやらせていただきます。また、猿之助さんが『この芝居はよく出来ていてカットする必要がない』とおっしゃるとおり、とても面白い芝居なのですが、上演時間が長い。しかし、面白いだけにごそっと一場面を抜くようなことはできないので、"ちょこ抜き"といいますが、細かいカットをし、テンポアップを図ります」

3役を勤めること――
亀治郎 「義太夫狂言と違って筋を追う芝居なので、演者としてしどころがあるとか、発散できる芝居ではないのですが、唯一お芝居らしいのは、<万福長者>でのお駒と母親とのやりとり。浪七の立廻りでは(矢橋<やばせ>の橋蔵の)獅童さんとのやりとりで、僕がどう笑いをこらえるか(笑)。ですから、芝居としてはお駒、役者ぶりは判官、浪七は立廻りと、歌舞伎の面白さが具現化された3役になっています」

石川 「亀治郎さんにはお駒(のような激情型の女)が最適。本当に芝居らしくて面白いと思います」

早替りや宙乗りについて――
亀治郎 「早替りは、あの『再岩藤』をやらせていただいたので、今回はそんなに忙しいとは思いません。若さで乗り越えられるところを石川さんにお願いし、間をつなぐ芝居はできるだけやめてもらいました。みどころはといえば、これはもうポスターにもあるとおり宙乗りにつきます! ポスターは馬事公苑まで行って撮った本物の馬との合成写真です」


十月公演特別ポスターのご紹介~新橋演舞場芸術祭十月花形歌舞伎

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2011/09/21