幸四郎『佐倉義民伝』成功祈願で「宗吾霊堂」参詣

幸四郎『佐倉義民伝』成功祈願

 「宗吾霊堂」本堂での成功祈願法要

 新橋演舞場「三月大歌舞伎」夜の部では、『佐倉義民伝(さくらぎみんでん)』が上演されます。凶作と熾烈な徴税にあえぐ佐倉の農民を救おうと、死を覚悟して将軍へ直訴に及んだ下総佐倉の名主木内宗吾の実説から生まれた感動作。宗吾を演じる松本幸四郎が、千葉県成田市の「宗吾霊堂」で成功祈願を行い、今回で3度目になる宗吾役への熱い思いを語りました。


幸四郎『佐倉義民伝』成功祈願

松本幸四郎
 宗吾霊堂に着きましたらちょうど雪がちらついてまいりました。宗吾様が江戸に直訴に向かったのも真冬。このような雪だったのだろうか。そのときの心中は…ということを体で感じられるような寒さでございました。

 成功祈願ということでこちらへうかがいましたが、霊堂でご住職様たちの読経をうかがっているうち、農民たちのことを思って立ち上がった宗吾様の気持ちが自ずと思い起こされてきました。大震災から1年というときに行われる公演でもあることも心のどこかにあったのでしょう。人間が自然と共生するなかで起こるさまざまなことにも思いが及び、3月11日にはどのような気持ちで芝居をしているのかなどということも考えながらお参りしてまいりました。

 今年は、宗吾様が亡くなられてからちょうど360年にあたるのだそうです。それほど前の出来事ですから、時代の流れのなかに埋もれてしまってもおかしくなかったと思うのですが、人数や日付などがきちんと記録として残されています。それだけ佐倉の方々の宗吾様への思いが強いからでしょうし、そのおかげで今日に至るまで宗吾様の行いが伝えられ、芝居にもなったのだと思います。宗吾様を演じるたびに思うことですが、気持ちを受け継いで行くことの大切さをあらためて感じました。

幸四郎『佐倉義民伝』成功祈願

成功祈願の後、宗吾霊堂内「宗吾御一代記館」を巡る松本幸四郎

 今回は息子の染五郎が徳川家綱を、孫の金太郎が宗吾様の長男彦七を勤めさせていただきます。彦七のせりふには重い言葉も出てまいりますので、(俳優として)これまでよりワンステップ上がらなければなりません。大変だとは思いますが、いつもより少し稽古を早く始めてみようと思っております。



2012/02/17