歌舞伎座ギャラリーへ福島県飯舘村の小学生を招待

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 8月19日(火)、歌舞伎座ギャラリーへ福島県飯舘村の小学生が招待され、「歌舞伎は旅する大使館」展を見学しました。

 東日本大震災から4回目の夏休みを迎えた福島県相馬郡飯舘村。村の全域が避難指示区域に指定されており、住民の皆さんは県内外で避難生活を強いられています。そんななか、招待された小学生26名ほか飯舘村の職員、震災復興支援事業を行っているNPO法人日本教育再興連盟(ROJE)の学生ボランティアの皆さんが、歌舞伎座ギャラリーを訪れました。

歌舞伎座ギャラリーへ福島県飯舘村の小学生を招待

 今回は、ROJEが企画した「つぼみプロジェクト」の一環としての訪問です。子どもたちがさまざまな職業、仕事の場を実際に見て体験し、将来像を描けるようにしたいという趣旨のもと、古典芸能の世界を垣間見る場として歌舞伎座ギャラリーを訪れました。農業の体験授業や企業訪問なども行う2泊3日のプログラムが、ここから始まりました。

歌舞伎座ギャラリーへ福島県飯舘村の小学生を招待

 ボランティアの学生リーダーとともに数人ごとのグループで会場を回りながら、海外公演の年表や歌舞伎の衣裳などを見て、皆さんが熱心にメモを取っています。「特に指示を出したり、ワークシートを配ったわけではないんですよ」とのことでしたが、『鳥辺山心中』の衣裳を間近で見たり、ばちを持ち替えて太鼓の音を出したりと、これまで縁のなかった古典芸能、歌舞伎の世界にかなり興味をもってもらえたようです。

 ROJEの発起人の一人で教育者の隂山英男氏も同行、「避難生活が長引き、今、子どもたちは自分の将来を思い描けなくなっています。こうして社会のいろいろな面を見て、職業観を持てるようにしていきたい。そして、10年後、20年後の自分のために、何をしたらよいかを考えられるように、長くサポートしていきたいと思っています」と、息の長い取組みの必要性を語りました。

 古典芸能の発信基地としての役割を担う歌舞伎座ギャラリーでは、このような形をとおして、より広く楽しく歌舞伎に触れていただく場を設けています。今後の活動にもぜひご注目ください。

歌舞伎座ギャラリーへ福島県飯舘村の小学生を招待

2014/08/20