歌六が芸術選奨文部科学大臣賞を受賞

中村歌六

 3月12日(木)、中村歌六が平成26年度(第65回)芸術選奨文部科学大臣賞の受賞者に決定したことが発表されました。

 芸術の各分野で優れた業績を挙げた人に、文化庁より贈られる芸術選奨文部科学大臣賞で、今年度の演劇部門における受賞者に、中村歌六が決定しました。

 選考対象となる業績は主に前年1年間のもので、贈賞理由に挙げられた舞台は、昨年4月歌舞伎座『梅雨小袖昔八丈(つゆこそでむかしはちじょう)』、9月歌舞伎座『鬼一法眼三略巻(きいちほうげんさんりゃくのまき)』、12月国立劇場『伊賀越道中双六』です。

平成26年度(第65回)芸術選奨文部科学大臣賞 演劇部門 中村歌六
贈賞理由

 芸力充実の中村歌六氏が本年は満を持して最高級の演技を見せた。『梅雨小袖昔八丈』の弥太五郎源七は衰残の侠客ながら、燃え尽きぬ男の色気と鬱情が強烈。『鬼一法眼三略巻』「菊畑」の鬼一は竹本と自在に呼応する感興の中に複雑な性根を蓄え、詰んだ息に支えられたコトバの密度が無類に濃い。中でも傑作は『伊賀越道中双六』「岡崎」の山田幸兵衛で、上記二役の特長がここに凝って一丸となった。重厚な一幕を通じて諸役と対峙、文字どおり要たり得た存在感は輝かしい。蒼古たる格調と役者らしい愛嬌。堅固な身体技と鉄壁のせりふ術。今後老熟の豊年に向けて後進へ模範を示す役割も大いに期待される。

2015/03/13