鴈治郎が「松竹大歌舞伎」での襲名披露を語る

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 6月30日(火)からの 「松竹大歌舞伎 東コース」、8月31日(月)からの 「松竹大歌舞伎 西コース」の公演において、全国各地で行われる中村翫雀改め四代目中村鴈治郎襲名披露について、中村鴈治郎がその思いを語りました。

平成27年度(公社)全国公立文化施設協会主催「松竹大歌舞伎 東コース」

 今年正月から始まった襲名披露も、大阪松竹座、歌舞伎座、博多座に続き、いよいよ今夏、全国各地の劇場やホールでの公演となります。「北海道から鹿児島まで、歌舞伎を全国にお届けします。お客様に楽しんでいただく工夫が積み重なり、今に伝わるのが歌舞伎。娯楽だと思ってぜひ足を運んでください」と、3年ぶりの出演となる公益社団法人全国公立文化施設協会主催「松竹大歌舞伎」をアピールしました。

家にゆかりの深い『引窓』
 襲名披露狂言として上演するのは玩辞楼十二曲の内『双蝶々曲輪日記』「引窓」です。初世鴈治郎が家の芸として制定した12演目の一つで、長く歌舞伎上演が途絶えていたものを、初世が明治29(1896)年大阪で復活上演し、以来、代々の鴈治郎が南与兵衛後に南方十次兵衛を当り役の一つにして上演を重ねてきました。

 「十二曲の中でも好きな狂言の一つで、親子の情、夫婦の愛、特に女房のお早と交わすやりとりが大事です。そのお早は壱太郎で、親子で夫婦を演じるのは初めてかもしれません」と、今から楽しみにしている様子を見せました。演じるのは、平成20(2008)年4月大阪松竹座で「角力場」「難波裏」「引窓」を通したときに、放駒長吉、与五郎、そして十次兵衛を演じて以来ですが、十次兵衛ひと役に集中するのは初めてとなります。

親子三代での全国公演は貴重な時間

平成27年度(公社)全国公立文化施設協会主催「松竹大歌舞伎 西コース」

 お楽しみの「襲名披露口上」には、父の坂田藤十郎も列座します。「80歳を過ぎての全国公演出演も少ないと思いますが、本人は芝居にもと言っていたのを、体力的に負担も大きいので『口上』で十分だからと言いました」と明かし、「壱太郎にとっても話がたくさん聞ける貴重な時間になるのではないでしょうか」と、親子三代での公演、しかも襲名披露という今年の公演への思いの深さを語りました。

 そして、切には弟の扇雀と甥の虎之介が『連獅子』を上演。「ホールによっては(仮設の)花道をつくったりと、臨機応変にやっていろいろな経験をさせていただく」と、さまざまな条件を前向きにとらえる意欲的な姿勢を見せました。さらに、「地方の公演で土地の居酒屋へ行くのが好きで…」と、公演の合間の楽しみものぞかせました。

 公演の土地土地ごとに思い出があると言い、二世鴈治郎の眠る鎌倉や、鴈治郎のイ菱の紋の元となった伊予松山藩の地元も訪れる鴈治郎。今回の襲名披露は、東西合わせると、48カ所で87公演にものぼります。

 平成27年度(公社)全国公立文化施設協会主催「松竹大歌舞伎」は、「東コース」が6月30日(火)~7月31日(金)、「西コース」は8月31日(月)~9月25日(金)の公演。チケットはチケットWeb松竹ほか、会場ごとに発売日、販売場所が異なりますので、公演情報をご確認のうえ、お近くの会場へお越しください。

2015/04/13