勘九郎、七之助「赤坂大歌舞伎」への意気込み

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▲撮影:渡部孝弘

 

 9月7日(月)から始まる、赤坂ACTシアター 「赤坂大歌舞伎」に出演の中村勘九郎、中村七之助が、公演への意気込みを語りました。

 赤坂ACTシアターの柿葺落公演として平成20(2008)年に始まった「赤坂大歌舞伎」も、今回が4回目。「歌舞伎座で上演している歌舞伎を、演出を変えずにできる貴重な劇場です」と、勘九郎が劇場の大きな特徴を挙げ、「今回は両方とも古典の演目。ACTシアターではこんな演目もできるんだと、可能性が広がると思います」と七之助が言うように、回を重ねることで赤坂ならではの色が、少しずつ鮮やかになってきました。

どんなお客様にも楽しんでもらえる『操り三番叟』

勘九郎、七之助「赤坂大歌舞伎」への意気込み

 「古典を大切にしたいという父(十八世勘三郎)の気持ちを受継いでいるので、古典の中でわかりやすいものをと、三番叟の一つでちょっとコミカルな『操り三番叟』を上演します。肩の力を抜いて観ていただきたいですね」と、勘九郎は歌舞伎座さよなら公演(平成21年12月)で初演して以来、2度目の挑戦を見せます。「この三番叟の隈はけっこう自由なんです」と、会見のバックボードのスチール写真では眉間に“赤坂”の隈を披露しています。

 前回は12月公演だったので、クリスマスツリーを描いたりもしていたそうですが、「今回、隈以外の演出は変えません。変えるのがいいとは限りませんし、むしろ、変えずにできる劇場は少ない。歌舞伎座をちょっとコンパクトにした感じの温かみのある劇場で、歌舞伎を観ている、という気になれると思います」。

勘九郎、七之助「赤坂大歌舞伎」への意気込み

自信を持って臨むことが第一『お染の七役』

 七之助の出演は『お染の七役』で、平成中村座(平成24年1月)以来、こちらも2度目の7役早替りへの挑戦となります。「早替りといっても『乳房榎』より早く替わるわけではなく、ストーリーに重みがあるわけでもありません。大切なのは7役を演じ分けること、そして、どうそれぞれの役々になっているかです」。

 玉三郎に教えを受けた中では、最も手取り足取り事細かに、一から教わった演目で、とても思い入れがあると言います。「稽古の最後に玉三郎のおじ様からいただいたひと言、“中村座をあなたが揺らしなさい”が忘れられません。演じるときは細かいことは忘れ、あなたが一番と思ってやりなさいと。不安を抱えていては面白くならない演目なので、自分に課題を残しつつも主役の自覚と自信を持ち、お客様に気持ちよく見ていただけるようにします」と、自分奮い立たせるかのように力強く語りました。

これからも続けていきたい「赤坂大歌舞伎」
 二人は、十八世勘三郎が遺してくれた財産の一つである「赤坂大歌舞伎」を、兄弟で続けさせてもらえるのがうれしいと喜び、感謝しましたが、そのうえで七之助は、「父は自分がやりたいのではなく、多くの人に見て欲しくていろんなことをしてきました。ほかの俳優さんに赤坂ではこういうこともできるんだと可能性を見出してもらえれば、どんどん赤坂歌舞伎が発展し、なおかつ街も賑ってくると思います」と、続けていく意味を見出していました。

 さらに、勘九郎は前回の赤坂歌舞伎(平成25年3月)で上演したことが、道具の寸法が同じだったことでニューヨーク公演につながったことにもふれ、「赤坂発信のこともいろいろあるんです。同じ演出でも場所によってお客様も見方が違うこともありますし、それもまた楽しみです」と、赤坂歌舞伎の特色を打ち出すだけでなく、発展、波及させる力のある公演にしていこうとの意気込みも感じさせました。

 赤坂ACTシアター「赤坂大歌舞伎」は、9月7日(月)から25日(金)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットWeb松竹スマートフォンサイトチケットホン松竹ACTオンラインチケットほかにて販売中です。

勘九郎、七之助「赤坂大歌舞伎」への意気込み

2015/06/30