獅童、舞台『青い瞳』初日を前に

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左より、岩松了、伊藤蘭、中村獅童、前田敦子、勝村政信


 11月1日(日)の初日を前に、渋谷Bunkamuraシアターコクーンで、舞台『青い瞳』に出演する中村獅童が、舞台にかける思いを語りました。

 7年前、『羊と兵隊』で身替り兵を演じた獅童が、帰還兵となって再び岩松作品に挑戦する『青い瞳』。作・演出の岩松了は、「自分がやってきたことに果たして価値があるのかないのか、問いかけられる存在である帰還兵は、人間が陥りがちな本質的な問題をはらんでいる」と言い、書きたかったテーマへの思いの強さを感じさせました。

獅童、舞台『青い瞳』初日を前に

『青い瞳』左より、勝村政信、中村獅童

 「岩松さんの演出は、一つひとつの場面を非常に丁寧につくり上げる、つまり何回もやるので、体に叩き込まれるんです。2度目の出演ですが、勉強させていただいていると同時に楽しいです」と、静かに語った獅童ですが、「(帰還兵という)お役なのでやせたいなと思ってはいましたけど、あまり努力せず、普通にやせていきました。5キロくらいは減った」と、緊張した独特の稽古場の様子を表現しました。

獅童、舞台『青い瞳』初日を前に

 『青い瞳』左より、伊藤蘭、岩松了

  ほかの共演者も「岩松さんの本には裏側に激流みたいなものが流れている。それを感じた稽古場でした」(勝村政信)、「厳しい演出家。じんわり効いてくる厳しさです。与えられる課題を何とかしようという毎日でした」(伊藤蘭)と、同様に稽古場の緊張感を語りましたが、初日を翌日に控え、出演者たちの表情は充実感にあふれています。

 

 岩松作品に初めて出演する二人も稽古場で得たことは大きかったようで、上田竜也は「稽古でせりふが馴染んで自分の言葉になる瞬間があり、有意義な稽古だった」、前田敦子は「素敵な言葉がたくさん。お客様にはたくさんのせりふからそれらを拾い取っていただきたい」と、岩松作品の魅力にすっかりはまり込んだ様子でした。

獅童、舞台『青い瞳』初日を前に

 一部公開された舞台では短いシーンながらも、複雑な自分を持てあますかのように、どこか身の置き所の定まらない不安定な気持ちを、繊細な演技で的確に見せた獅童。

 初日への意気込みを聞かれ、「頑張ります、という芝居ではないので…」と少し苦笑いも交え、「“生”の舞台を体感し、想像しながら見てもらえたらうれしい。一所懸命やらせていただきます」と、穏やかな笑顔を崩さずに目を輝かせて答えました。

 シアターコクーン・オンレパートリー2015『青い瞳』は11月26日(木)まで、渋谷Bunkamuraシアターコクーンにて上演されます。

2015/10/31