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彦三郎、亀三郎、亀寿が「襲名を祝う会」で語った思い

彦三郎、亀三郎、亀寿が「襲名を祝う会」で語った思い 

 

 1月28日(土)、東京 ホテルニューオータニで、「初代坂東楽善 九代目坂東彦三郎 三代目坂東亀蔵 六代目坂東亀三郎 襲名を祝う会」が開かれ、初代楽善を襲名する坂東彦三郎、九代目彦三郎を襲名する坂東亀三郎、三代目亀蔵を襲名する坂東亀寿と、六代目亀三郎として初舞台を勤める坂東侑汰の親子孫四人が、5月の披露に向けての思いを語りました。

彦三郎、亀三郎、亀寿が「襲名を祝う会」で語った思い

 彦三郎と亀三郎長男の侑汰が長唄『壽』を舞って始まった「襲名を祝う会」。四人の襲名と初舞台を応援する皆さんからの温かい拍手で、会場には開宴と同時に熱気があふれました。

 

 会の冒頭で挨拶に立った松竹株式会社社長迫本淳一からは、「彦三郎さんには楽善の名前のごとく、楽しくよき芸風の境地を遊んでいただきたい。亀三郎さんはこのところ進境著しいので、お祖父様、お父様の芸を受け継いでますますの活躍を。亀寿さんにも、先輩方の指導をうけて多彩な役柄に挑んでいただきたい」と、エールが送られました。

 

彦三郎、亀三郎、亀寿が「襲名を祝う会」で語った思い

 さらに、亀三郎、亀寿が高校時代に留学していたことに触れ、「歌舞伎の国際化のなかでこの二人の活躍が期待されます。非常に大きなチャンスがあるのでは」と、次代の歌舞伎を担う二人へ大いなる希望を託しました。初舞台の侑汰には層が厚い世代のなか、ぜひ活躍をとの言葉が贈られました。

 

三人の襲名への決意と愛らしいご挨拶

 祝辞を受けて舞台に上がった彦三郎は、深い感謝とともに、「私たち親子三人孫一人、いろいろなことがあると思いますが、元気に頑張ります。四人を末永くご贔屓賜りますようお願い申し上げます」と挨拶。亀三郎は、「父、祖父(十七世羽左衛門)、叔父や母から、当たり前のことを当たり前にできる役者になりなさいと言われました。僕たちが表現しているのは江戸時代の髷を結い、刀を差している、現代ではないもの。それを当たり前に日常で表現しろと教わりました。凡事徹底、当たり前のこと当たり前にやって極めていく、これが僕が進む道だと思っています」。

 

 亀寿も襲名できることへの感謝の言葉を重ね、「襲名披露は大きな行事でございますが、そのあとが本当のスタートだと思っております。ご覧いただく皆様に、襲名して亀蔵はよくなった、変わったなと言われるよう、今まで以上に芸道に精進していくつもりでございます」と決意を述べました。侑汰の「坂東亀三郎になります」の挨拶には、会場中から「可愛い」の声が上がり、拍手も一段と大きく沸きました。

 

彦三郎、亀三郎、亀寿が「襲名を祝う会」で語った思い

祖父から父へ、そして子へと引き継がれるもの

 鏡開きのあとは松竹株式会社会長大谷信義の発声で乾杯。亀三郎、亀寿の『三番叟』も披露され、宴もたけなわとなったところで、三人がお礼の挨拶に立ち、「團菊祭五月大歌舞伎」で勤める役を発表しました。

 

 そのなかで亀三郎は、「『石切梶原』は、祖父が羽左衛門襲名、父が亀蔵襲名のときの演目です。先代が生きているうちに名を譲ってもらうことは少ないと思いますので、父が元気なうちに、体の中にあるものをきちんと受継ごうと思っております」と語り、亀寿は、「『石切』の俣野五郎は、父(大庭三郎)と兄弟の役なので楽しみにしてください。『浅草祭』は4役早替り、動きまくってへとへとになると思いますが、頑張りたい」と話しました。

 

 終わりの挨拶に立った松竹株式会社副社長安孫子正は、十七回忌追善でもある十七世羽左衛門に触れ、「お役をいただいたら初めは先輩の言うとおりに演じ、2度目、3度目は性根を考え、役以上のことはするな、役以下のこともするな、当たり前に演じろと、幼かった亀三郎さん、亀寿さんにも相当厳しく指導されていました」と回想し、二人の努力が10年前のある舞台に花開いたとの話を披露しました。「これからが二人の正念場。そういう芸のあり方を守り通し、今後の芸を見せていただきたい、これからの歌舞伎を背負っていただきたい」と大きな期待を込め、最後は一本締めで盛会をお開きとしました。

 お客様をお見送りした後、亀寿はあらためて、「今はほっとしております。でも、本番は5月。一所懸命勤めますので、ぜひ劇場に足を運んでいただければと思っております」と、気持ちも新たに意気込みを見せました。亀三郎は、「今日はずいぶん、大変でしょうが頑張ってというお言葉を受けました。“大”きく“変”わるときが“大変”、襲名して変わらないのは許されないと思うので、大きく変わりたいと思います。名前が変わったから変わるとはまったく思っていません。変えていくのは自分です。本当に当たり前のことを当たり前にやる、日々初心、凡事徹底です」と、気を引き締めて会場をあとにしました。

 

彦三郎、亀三郎、亀寿が「襲名を祝う会」で語った思い

2017/01/30