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大阪松竹座「五月花形歌舞伎」初日、猿之助、勘九郎、七之助が見せた意気込み

大阪松竹座「五月花形歌舞伎」初日、猿之助、勘九郎、七之助が見せた意気込み

 

 

 5月2日(火)に初日を迎えた大阪松竹座新築開場二十周年記念「五月花形歌舞伎」で、出演の市川猿之助、中村勘九郎、中村七之助が初日終演後、あらためて公演への思いを語りました。

8年ぶりとは思えない

 大阪松竹座では8年ぶりの共演となりますが、「8年のブランクはないよね」の猿之助の言葉に、顔を見合わせうなずき合う三人。猿之助が「8年前に来たとき、ものすごく客席が熱狂していた。そのことを思い出しました」と言うと、勘九郎も「大阪のお客様は本当に反応がよくて、やっていて楽しいです」と笑顔で続けました。七之助にはさらに特別な思いがあるようで、「あの浅草歌舞伎をともに過ごした俳優さんは、僕のなかでは特別。つくろうと思ってもつくれない空気というか…」と、16歳で出演した浅草歌舞伎を思い起こしながら語りました。

 

 先日の俳優祭の『月光姫恋暫』での共演でも、同じ感じがしたという七之助は、「すっとできるというか、ぱぱぱっときめられるというか、ちょっとほか(の座組み)とは違う」と、その特別な空気感を表現しました。「また来たいですね」「大阪の人たち、また呼んでくれるかな」と、初日が終わったばかりなのに、名残を惜しむ千穐楽のような発言まで飛び出し、三人が本当にこの公演を楽しんでいる様子がうかがえました。

 

自画自賛したくなる公演

 『金幣猿島郡(きんのざいさるしまだいり)』は大阪では23年ぶり、『怪談乳房榎』も大阪では26年ぶりの上演になります。『乳房榎』の傘を使った早替りでは、「雅行さん(勘九郎)がぱっと向こうから来たとき、待ってましたと思ったけれど、お客様も待ってましたと思ってくださったろうし、非常にうれしかったですね」と、初日の舞台を振り返ってにっこり。一方の勘九郎は、「今回は本当にいい思いをさせていただいています。だって、僕が早替りをやって、(早替りを得意とする)猿之助さんは早替りをしない、本当に贅沢ですね」と、別の意味でも喜んでいました。

 

 「河内屋さん(三世延若)から中村屋に伝わった『乳房榎』、猿翁の伯父が何回もやった『金幣猿島郡』、どちらも先人たちが工夫しているので、すごく洗練されています」と猿之助。さらに、昼の部には舞踊の『戻駕色相肩』、夜の部には『野崎村』、「大阪にゆかりのものが並んで狂言立てがいいし、夜は8時には終わるし、とてもいい公演だと自画自賛しています」といっそうの笑顔を見せました。

 

宙乗り1000回に対抗して…

 16日(火)には猿之助が宙乗り1000回を迎えます。「ただ宙乗りをすればいいわけではなく、宙乗りが溶け込む作品をきっちりつくっていかないといけません。そういう意味で、『金幣猿島郡』は、現代に通じることもあるし、ものすごくよくできた南北の芝居です」。

 

 対して、本水1000回の挑戦をしてみてはと、猿之助から提案された勘九郎は、「意外と大阪松竹座の水が冷たいんです。いつも滝行をしているような気分になっています」と、笑顔で返しながらも、初日が開いて「お客様の熱い声援をいただき、水がそんなに苦にならなくなってきました。やっぱりお客様が入ると違いますね」と、満足そう。前回の上演では、勘太郎と長三郎が「シャワーを滝に見立てて立廻りをしていました。僕たちも同じことをしていた」とも明かしていました。

 大阪松竹座「五月花形歌舞伎」は、5月26日(金)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットWeb松竹スマートフォンサイトチケットホン松竹にて販売中です。

2017/05/03