歌舞伎座「團菊祭五月大歌舞伎」初日開幕

歌舞伎座「團菊祭五月大歌舞伎」初日開幕

 

 

 5月2日(水)、歌舞伎座百三十年「團菊祭五月大歌舞伎 十二世市川團十郎五年祭」が初日の幕を開けました。

歌舞伎座「團菊祭五月大歌舞伎」初日開幕

 1階の大間にしつらえられた十二世市川團十郎五年祭の祭壇

 九世市川團十郎、五世尾上菊五郎を顕彰する團菊祭。今年は二世市川團十郎生誕三百三十年、十二世市川團十郎五年祭にあたります。そのような節目の年に、成田屋ゆかりの狂言を上演できることに感謝する海老蔵の口上で、通し狂言『雷神不動北山櫻(なるかみふどうきたやまざくら)』が幕を開けます。5役を勤める海老蔵が「いつもより数倍のご声援を」とお願いして物語が始まりました。

 

 5役の最初におどろおどろしく登場したのは、天皇になれなかったことを恨み、天下転覆をねらう早雲王子。早雲が鳴神上人との約束を反故にしたことで、都は干ばつに陥ります。皆で雨乞いの相談をしているところへ現れたのは安倍清行。海老蔵は、百歳を超えてなお好色な清行を飄々と演じ、公家然とした品のよい色香を残しました。

 

歌舞伎座「團菊祭五月大歌舞伎」初日開幕

 『雷神不動北山櫻』 左より、坂東彦三郎、市川海老蔵、中村梅丸、大谷友右衛門、大谷廣松、市川團蔵

 ここで早口の言い立てをはさみながら、早雲と清行の早替りを見せて、雨を降らせる重宝の短冊を軸に、舞台は『毛抜』へと移ります。

 

 寿の字海老と三升の紋をあしらった衣裳で現れた海老蔵の粂寺弾正。若衆の秀太郎や腰元巻絹をからかったりと、愛嬌のある色気を見せますが、役目をしっかり果たす賢い使者でもあります。派手な見得の数々でも楽しませ、何度も客席を沸かせました。

 

歌舞伎座「團菊祭五月大歌舞伎」初日開幕

 『雷神不動北山櫻』 上から、市川海老蔵、尾上菊之助

 弾正の働きで短冊は取り戻したものの都の干ばつは続いており、鳴神上人の行法を破るために清行の教えを得て、雲の絶間姫が送り込まれます。海老蔵の鳴神と菊之助の絶間姫は17年ぶり。女性に対して無垢な鳴神には、清行や弾正とはまた違った色気が漂います。ぶっ返りと隈取、毬栗の鬘(かつら)で怒りを表した鳴神の引込みの勢いに、場内も引き込まれそうになりました。

 

 そして、ついに早雲の企みが露見、激しい立廻りの末、魔界に堕ちる早雲。最後に海老蔵が5役目の不動明王を勤め、空中浮遊を見せて物語を締めました。

 

歌舞伎座「團菊祭五月大歌舞伎」初日開幕

 『女伊達』 左より、中村橋之助、中村時蔵、中村種之助

 ガラッと変わってすっきりとしたいで立ちの粋な女の侠客が、新吉原に現れた『女伊達』。尺八を手にならず者を軽くあしらいます。普通は傘を持っての立廻りできめるところ、今回、時蔵は手桶を使って面白く見せました。

 

 

歌舞伎座「團菊祭五月大歌舞伎」初日開幕

 『弁天娘女男白浪』 左より、市川左團次、中村種之助、市川團蔵、尾上菊五郎、市川海老蔵

 夜の部『弁天娘女男白浪』は、菊五郎の「知らざぁ言って聞かせやしょう」のひと言に、歌舞伎座中から「待ってました!」の声が降り注ぎました。菊五郎の弁天小僧と左團次の南郷力丸が花道に出てきた途端、もう大きな拍手が二人を包みます。浜松屋でべらぼうに長い返事をする丁稚は寺嶋眞秀。祖父、菊五郎の舞台に1年ぶりの出演です。気持ちのよいせりふに耳を傾け、流れるような美しい仕草で煙管や手拭いを使う菊五郎から目を離すことができません。

 

 もう一つのお待ちかね、稲瀬川勢揃いのツラネは、目に鮮やかな五人の衣裳とともに、どこを切っても一枚の絵のようにきまっています。続く極楽寺屋根では、きりっと屋根の真ん中に片足立ちできめた弁天小僧に目を奪われ、息の合った大立廻りのあとの立ち腹では、がんどう返しで屋根が傾く中で見せる弁天小僧の断末魔に、客席からどよめきと拍手が起きました。山門で海老蔵の日本駄衛門が腹をくくると、梅玉の青砥左衛門が寛容な態度で応え、皐月の再会を約束して幕となりました。

 

歌舞伎座「團菊祭五月大歌舞伎」初日開幕

 『菊畑』 左より、尾上松緑、中村時蔵

 『鬼一法眼三略巻』のうち、「一條大蔵譚」として上演されることの多い「檜垣」「奥殿」の前段にあたるのがこの「菊畑」。元は源氏方の鬼一法眼が持つ兵法書の虎の巻を手に入れようと、鬼一の弟の鬼三太は智恵内、御曹司の牛若丸は虎蔵と名のって奉公しています。智恵内の松緑は繻子奴、虎蔵の時蔵は色若衆、二人が醸し出す色気と、児太郎の皆鶴姫が切々と語る恋心、菊の花いっぱいの舞台は彩り豊かな空気に包まれ、様式美にあふれた一幕となりました。

 

歌舞伎座「團菊祭五月大歌舞伎」初日開幕

 『喜撰』 上から、中村時蔵、尾上菊之助

 切は舞踊の名作の一つ『喜撰』。菊之助が初役で喜撰法師に挑戦します。錫杖代わりに桜の枝を持った喜撰は、品がありながらも軽妙洒脱な踊りを見せます。お梶を勤めるのは、十世三津五郎の喜撰とたびたび踊っていた時蔵、新コンビでも息ぴったりです。所化たちが喜撰を迎えに来て始まる住吉踊りも面白く、最後に残ったのは温かい拍手を送るお客様の笑顔でした。

 子宝に恵まれなかった初世團十郎が成田山新勝寺に祈念し、二世團十郎が生まれて330年、その成田山開基1080年という節目の年に、初世、二世を敬愛していた十二世團十郎の五年祭。2階ロビーには開基1080年を記念して「大本山成田山新勝寺 不動明王勧請」と不動明王の出開帳もあり、開場前には特別祈願法要厳修も行われて、「気持ちが引きしまる」と語った海老蔵。「口上」では自ら、「ご礼拝していただければいいことがあるかもしれません」と、お客様に出開帳をご案内していました。

 

歌舞伎座「團菊祭五月大歌舞伎」初日開幕

 出開帳の法要で成田山新勝寺のご住職から御護摩札をいただく海老蔵。気持ちも新たに初日の舞台を迎えることができました

 正面玄関を入ると例年どおり九世團十郎、五世菊五郎の朝倉文夫の胸像がお客様をお迎えし、2階ロビーには成田山新勝寺の出開帳で不動尊が祀られた今月の歌舞伎座。ぜひ、足をお運びください。

 

 歌舞伎座百三十年「團菊祭五月大歌舞伎」は5月26日(土)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットWeb松竹スマートフォンサイトチケットホン松竹で販売中です。

2018年05月03日

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