芝翫が語る新橋演舞場『オセロー』

芝翫が語る新橋演舞場『オセロー』

 新橋演舞場『オセロー』 左より、松任谷正隆(音楽)、前田亜季、檀れい、中村芝翫、神山智洋(ジャニーズWEST)、井上尊晶(演出)

 

 

 9月2日(日)から始まる新橋演舞場『オセロー』で、出演の中村芝翫、檀れい、神山智洋、前田亜季が、演出の井上尊晶、音楽の松任谷正隆とともに、公演への意気込みを語りました。

八代目芝翫としてシェイクスピアに挑む

 「この年になってやらせていただけるとは、夢にも思っていませんでした」と喜びを隠しきれない芝翫。襲名以来初めて、歌舞伎以外の舞台に芝翫の名を刻みます。八代目を数える芝翫という名跡を継いだことで、「こういうお芝居をやれるようになったんだ、やってもいいんだ」という自覚につながったと語りました。七世幸四郎、二世松緑、九代目幸四郎(現 白鸚)と、日本のオセロー役には名だたる歌舞伎俳優の名が並んでいます。

 

芝翫が語る新橋演舞場『オセロー』

 昭和52(1977)年4月の新橋演舞場へ、「母に手を引かれて観に行った覚えがありますが、そのときは、紀尾井町のおじさん(二世松緑)もこういう格好でお芝居なさるんだ、それくらいしか思っておりませんでした」。縁遠い世界と思っていたシェイクスピア、しかも『オセロー』、「芝翫として新しいページをめくるという意味でも、この秋の『オセロー』は、自分の憧れでもある反面、重圧に押しつぶされそうなくらい怖くもあります」と、正直な心境を述べました。

 

初めてづくしの『オセロー』

 貞淑な妻のデズデモーナ役の檀は、初めてのシェイクスピア作品で、「なにもかも初めてづくしの『オセロー』になると思います。挑戦の楽しみもありますが、怖くもあります。怖い気持ちを振り払い、尊晶さんの演出のもと、精いっぱい芝翫さんについていき、8月、9月は芝翫さんひと筋で走ってまいりたい」。ドレスに金髪という役も、宝塚歌劇団退団後初めてで、芝翫は、「ため息が出るような凛とした美しさ。僕は幸せ者。こんなきれいな方を愛することができるのは光栄です」と相好を崩しました。

 

 このオセロー夫妻の仲を引き裂くのが、若きイヤーゴー、神山です。「まさか僕がシェイクスピアをやる時が来るとはと、びっくりしました。台本の長ぜりふに圧倒され、めくってもめくっても、長ぜりふの繰り返し。水分補給してでも演じきらないといけません」。しかし、そんな言葉とは裏腹に、「尊晶さんからアドバイスをいただき、『オセロー』の世界観を引っ掻き回し、打ち壊していきたいと思います」と気合をみなぎらせ、演出によってはダンスもあるかもしれないと、期待をふくらませていました。

 

芝翫が語る新橋演舞場『オセロー』

 新橋演舞場『オセロー』 上段左より、田口 守、二反田雅澄、大石継太、廣田高志、河合宥季、辻萬長/下段左より、池田純矢、前田亜季、中村芝翫、檀れい、石黒英雄

 デズデモーナの侍女で、物語のあるきっかけをつくることになるエミーリアの前田は、「シェイクスピアも、新橋演舞場という大きな舞台に立つのも初めて。自分がどう立つのか想像もできていない段階ですが、皆さんと一緒に新しい『オセロー』をつくり、そこに楽しんで参加できたら」と、まっすぐな眼差しを向けました。

 

大衆に愛される『オセロー』をつくりたい

 演出の井上は、生前の蜷川からスタニスラフスキーの『オセロー』演出プランについての記事のコピーを渡されたことを思い出し、「何かの運命でしょうか。やれと背中を押された気持ち」になり、演出を引き受けたと明かしました。「シェイクスピアの言葉を駆使することが、シェイクスピア演劇の大事なスケールの大きさ。世界に対峙する人間の大きさというものが、世界に向かって声高らかに響いてほしいなと思っています」。そして、「芸術ではない、大衆に愛される『オセロー』をつくってみたい」と抱負を述べました。

 

 一方、芝翫は「果たして心で感じ、肉体で言葉として発するかなという言葉が多いですね。それを、あたかもオセローが発したかのようにお客様に錯覚させることも必要かなと思いました。架空の言葉ではなく、肉体から発する言葉、戯曲であること、そうするための作業をしなければいけません」。

 

 そんなふうに芝翫は不安を口にしましたが、上演の半年も前に行われた本読みですでに、松任谷は、「芝翫さんが読んだときに、歌舞伎のイメージとシェイクスピアのイメージ、これだったらリアリティーがあるな、クラシックの新しい解釈みたいなものができればいいな」と、感じられたと明かしました。そして、「芝翫さんが真ん中にいらしてできてくる世界感が、音楽、演出、共演者、全部に移っていく空気。それを音楽で頑張って表現していきます」と、創作への光明を見出していました。

芝翫が語る新橋演舞場『オセロー』

 新橋演舞場『オセロー』 左より、中村芝翫、檀れい

 年代の異なる出演者がそろいましたが、会見の様子からもチームワークのよさが伝わってきて、「これが作品を通して舞台に出ていけば最高ですね。幅広い年齢層のお客様に見ていただけたらうれしいです」と芝翫。演出ほかスタッフを含め、「いい作品、いい山の頂上に向かって、いい登山口を探し、皆で頂上を目指そうということです」という芝翫の言葉には、真実味があふれました。

 

 新橋演舞場9月公演『オセロー』は、9月2日(日)から26日(水)までの公演。チケットは、チケットWeb松竹チケットWeb松竹スマートフォンサイトチケットホン松竹で、7月7日(土)発売です。

2018年06月15日

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