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菊五郎、梅玉が語る、御園座「吉例顔見世」

菊五郎、梅玉が語る、御園座「吉例顔見世」

 御園座「第四十九回 吉例顔見世」 左より、小笠原剛御園座会長、中村梅玉、尾上菊五郎、安孫子正松竹株式会社副社長

 

 

 10月1日(月)から始まる、名古屋 御園座新開場記念「第四十九回 吉例顔見世」に出演する尾上菊五郎、中村梅玉が、公演への思いを語りました。

 

菊五郎、梅玉が語る、御園座「吉例顔見世」

菊五郎が気のいい役で面白く見せる『野晒悟助』

 新しい御園座となって初めての「吉例顔見世」。昼の部では『鳥居前』『二人椀久』に続き、『野晒悟助』に菊五郎と梅玉が顔をそろえます。6月に菊五郎が歌舞伎座で20年ぶりに悟助を演じ、話題となった演目を御園座で初上演。悟助と達引を見せる浮世戸平を梅玉が勤めます。舞台の大きさが異なるので、「大道具の寸法をちょっとコンパクトにしましたが、中身は変わらずにやらせていただける。名古屋のお客様にも絶対、楽しんでいただけると思っております」と菊五郎。

 

 「悟助は、二人の娘に惚れられる、とても気のいい役でございます。場所は大阪ですが、黙阿弥さんが書かれて、どなたがやっても江戸弁で上演します。私もそれをふまえておりまして、悟助は4回目ですが、楽しく明るい、面白い舞台にしていきたい。また、最後が大立廻りで、最近の若い人の立廻りは、非常に上手になっておりまして、これも一つのみどころです」。前回とは衣裳の柄や色などを変え、「より華やかに」と考えているとも語りました。

 

菊五郎、梅玉が語る、御園座「吉例顔見世」

理屈抜きに楽しんでもらいたい『与話情浮名横櫛』

 夜の部は『女暫』からで、巴御前は初役の魁春。梅玉は、「父(六世歌右衛門)が勤めており(昭和43年4月歌舞伎座)、私は太刀下で出ておりました。その頃を思い出し、兄弟仲よくやっていきたいと思います」。舞台番に菊五郎。「入れ事を考えておりますが…」、名古屋にちなんだものを思案中と言い、「何かお知恵がございましたらお教え願いたい」と、地元の記者の方にも呼びかけていました。

 

 『連獅子』に続いては、梅玉が本興行では9回目となる切られ与三郎を見せる『与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし)』。「死んだはずだよお富さん、の歌でよくご存じの、あの与三郎でございます。私の大好きな役の一つ。歌舞伎の代表的な世話物で、“しがねえ恋の情けが仇”から始まる有名なせりふを心地よく聞いていただいて、理屈抜きに楽しんでもらえればという思いです」。回数に関係なく、「初心に返って、初演のつもりで頑張りたい」と意欲的に語りました。

 

御園座と聞くだけでよみがえる思い出の数々

 「(初世)辰之助が足をくじいて、私は大磯の虎だったのが、いきなり曽我十郎にさせられて、十郎だった新之助(十二世團十郎)が曽我五郎になって…」、三之助と呼ばれた三人がそろって御園座に出演した昭和43(1968)年10月の『壽曽我対面』のエピソードを披露したのは菊五郎。「小学生の頃、父たちが御園座に出ているのを拝見に行くということで初めて三人だけで、7時間ほど汽車に乗ってきた思い出もございます」。

 

 梅玉は昭和31(1956)年、初舞台の年の10月が生まれて初めての名古屋で、劇場前の「伏見通りがものすごく見えた」ことと、そのとき『巷談宵宮雨(こうだんよみやのあめ)』で竜達を勤めた十七世勘三郎が、「後半のお化けになって出てくる格好で、楽屋に脅かしに来るんですよ、怖いだろ、怖いだろって」と、子どもの頃の鮮明な記憶をたどって見せました。「福助襲名、梅玉襲名も4月の歌舞伎座のあと、10月に名古屋でさせていただきました。節目節目で、御園座にはいろんな思い出があるということです」。

 

 そんな数えきれないほど思い出のある“御園座”という劇場に、また出演できること、それも新劇場で最初の「吉例顔見世」に出演できることが、二人ともとてもうれしそう。「やはり御園座は、名古屋の演劇の本拠地であるはずですので、そのイメージを崩さないように」と、梅玉が抱負を述べ、菊五郎は「初日より千穐楽まで、賑々しくお客様が来ていただけるように」と願って、最後は笑顔で締めくくりました。

 御園座「第四十九回 吉例顔見世」は、10月1日(月)から25日(木)までの公演。チケットは、御園座チケットWeb松竹チケットWeb松竹スマートフォンサイトほかで販売中です。

2018/09/11