歌舞伎いろは

【歌舞伎いろは】は歌舞伎の世界、「和」の世界を楽しむ「歌舞伎美人」の連載、読み物コンテンツのページです。「俳優、著名人の言葉」「歌舞伎衣裳、かつらの美」「劇場、小道具、大道具の世界」「問題に挑戦」など、さまざまな分野の読み物が掲載されています。



寿ぎを彩る華やかな形、加賀水引を訪ねる旅
向かい合う鳳凰の姿に仕上げた加賀水引。

 相手を想う心を包み、謹みの形を表す水引。その装飾性をより高め、結納という寿ぎの場を華やかに彩るのが加賀水引だ。水引で物を包む風習は古く、全国にあるが、ただ結ぶのではなく、こうした立体的な細工物に仕上げるのが、加賀水引の特徴だ。明治の頃に始まり、金沢の結納の場に欠かせないものとなった加賀水引。現代でも、規模こそ少し小さくなったが、やはり結納の場に華やぎを添える飾りとして、祝いの席にずらりと並ぶのが慣習として続いている。加賀友禅や蒔絵、九谷焼など、金沢地方の芸術には色彩豊かなものが多い。目出度いことをより目出度く、縁起を担いで縁結びや子孫繁栄を願う気持ちに、時代の変化はない。そうした願いを形に表わした加賀水引の美しさも、こうした華やぎを生み出す、加賀の美意識から生まれたものに違いない。

文/湊屋一子、写真/長谷良樹、YOSHIKI HASE
取材コーディネート/門松久美子、
構成/古田秘馬、中西由紀(編集部)

 
柳宗理らも絶賛。用の美を極める芸術品
束ねる、重ねる、織り成す。工程も縁起良し
日常の中で美を楽しむ、加賀水引の新しい形
旅の食と宿
加賀の見どころ
 

歌舞伎と旅

バックナンバー