歌舞伎いろは

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芸術家の魂を揺さぶる冬の日光へ〜東照宮から現代建築まで
生き生きとした鳥の姿を写した彫り物からは、賑やかなさえずりが聞こえそう(東照宮)。

 日光と言えば「東照宮」と答える人が多い。徳川家康をまつった東照宮には、世界遺産にも登録された陽明門をはじめ、眠り猫や三猿など、有名な彫刻、建築物が数多くあり、見どころに事欠かない。日光ではこの東照宮と二荒山神社、輪王寺の「二社一寺」が、特に有名だが、世界遺産に登録されているのは、周辺の山林を含めた敷地、そして陽明門を含む103もの建物。設計図を引いた男の名も、材木を担ぎ、組み上げた男の名も、見事な彫り物を残した男の名も、まったくと言っていいほど残っていないが、そのどれもが当時最高の技術を持った者たちによる、生涯をかけた仕事であったことは、想像に難くない。その渾身の仕事ぶりは、長い時を経た現代の人々をも感動させる。そうした“職人魂”はこの地に根を下ろし、日光彫などの工芸品として残っただけでなく、現代の職人にも受け継がれている。霊験あらたかな日光山の自然の中で感性を研ぎ澄まし、もてる技術のすべてをふるう芸術家たち。その作品は新しい日光の工芸品となっていくはずだ。

クレジット:文/湊屋一子、写真/岡崎健志、
取材コーディネート/門松久美子、
構成/古田秘馬、中西由紀(編集部)

日光の自然に抱かれて生まれる、新しい世界への扉
東照宮「眠り猫」の作者? 歌舞伎のなかの伝説の彫物師 左甚五
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