猿若

さるわか

 出雲の阿国を描いた絵画資料に、すでにその存在が確認できる"猿若"は、初期歌舞伎の道化方として、おかしみある演技を見せ、喝采を浴びていました。後には、猿若を主人公とした「猿若」狂言が作られ、上演されるようになりました。

 この猿若の名手であったのが、猿若勘三郎(初代中村勘三郎)です。江戸幕府の軍艦・安宅丸(あたけまる)を入津させる折に、初代勘三郎が音頭をとり、その功によって将軍家から"金の麾(きんのざい)"を賜ったという逸話は、中村座の歴史をひもとく際に、必ず語られるものですが、木遣り音頭も、"猿若"の代表的な芸のひとつでした。

 中村勘三郎家では、初代勘三郎の『猿若』を家の寿狂言として、中村座での慶事の際に上演し、先祖の遺徳を偲んだのでした。(M)



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