差金

さしがね

 『鏡獅子』では竹棒の先に蝶々をつけて、獅子のまわりを蝶が飛ぶ姿を表現しますが、この棒のことを「差金」といい、歌舞伎独特の小道具のひとつです。蝶のほかにも、鳥や人魂を表わす焼酎火など、飛んでいる様子を表現するには大概これが使われます。

 棒の先端の部分は特に緩やかで繊細な動きが必要ですので、古くから鯨のヒゲが多用されてきましたが、近年ではこの入手が難しくグラスファイバーなど新しい素材が工夫されています。

 「陰で操る」というわけで、日常でも「さしがね」という言葉はよく使われます。(K)



解説

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