黒衣

くろご

 正しくは「クロゴ」と言います。黒い衣裳に身を包み、顔を頭巾で隠して舞台で俳優の演技を助ける人、また、その人が着ている衣裳を「黒衣」といい、芝居の途中で小道具を持ってきたり、不要になったものをさりげなく片付けたりと、大変便利な役割を勤めます。

 「後見(こうけん)」の一種で、後見は様式性の高い演目や舞踊では裃(かみしも)や紋付姿で手助けをする場合もありますが、大概の芝居では「黒衣」になります。「黒」は歌舞伎では「見えない」ことを意味しますので、黒衣として登場したときには、見えていないという約束を観客も心掛けておきます。

 これは専門の職種があるのではなく、演じている俳優の弟子などがこの役割を勤めます。(K)



解説

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