佐藤継信・忠信兄弟

さとうつぎのぶ・ただのぶきょうだい

 奥州藤原氏の、豪族・佐藤基治(さとうもとはる※1)の三男と四男で、平泉の藤原秀衡(ふじわらひでひら)のもとに潜伏していた源義経が、兄頼朝の挙兵に加わるため鎌倉に向かう際、秀衡により随行を命じられ、以後義経の腹心として付き従います。

 兄の継信※2は八嶋の戦いで平家方の能登守教経(のとのかみのりつね)の剛弓から義経をかばって討ち死。(このくだりは、「道行初音旅」でも忠信に化けた源九郎狐によって語られます。)一方、弟の忠信は、義経が頼朝に離反し、追われる身となっても離れず、吉野山では義経を逃がしたあと、後詰(ごづめ※3)となって川連法眼(芝居では義経をかくまう)や、覚範らの僧兵に対し巧妙なゲリラ戦を展開します。

 その後、義経とは別ルートで京に潜入しますが、愛人の裏切りにあい、堀川御所で包囲されて自刃します。(み)

※1一説に元治とも。
※2『平家物語』では嗣信(つぎのぶ)となっている。
※3後陣。敵の後ろから攻める。



解説

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