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歌舞伎 今日のことば・ことばで知る歌舞伎の世界



この世のなごり 夜もなごり

このよのなごり よもなごり

   この世のなごり 夜もなごり 死にに行く身をたとふれば
   あだしが原の道の霜 一足づゝに消えて行く。

 この文章は、近松門左衛門の代表作の一つである『曽根崎心中』の道行の冒頭の詞章で、古くから名文として知られています。また高名な儒学者である荻生徂徠(おぎゅうそらい)が、冒頭の詞章に続く「七つの時が六つ鳴りて 残る一つが今生の 鐘の響きの聞き納め」という件りを読み、絶賛したとの話が大田南畝(おおたなんぼ)の随筆にみえます。

 『曽根崎心中』が初演された元禄16年(1703年)当時、竹本座は負債を抱えていたものの、この作品の大当たりによって、負債を完済したと言われています。それほどの大当たりをとったにもかかわらず、その後、『曽根崎心中』の上演は、全く途絶えてしまいました。

 この作品が再び日の目をみたのは、昭和28年8月の新橋演舞場に於いてでした。この年は、近松生誕300年にあたり、これを記念して、宇野信夫の脚色のもと、近松の名作を歌舞伎で復活しました。初演の徳兵衛は二世中村鴈治郎、お初は坂田藤十郎(当時・中村扇雀)が勤めました。この歌舞伎での復活上演は大変な反響を呼び、社会現象となるほどの大成功を収めました。
 本家の文楽でも、歌舞伎での成功を受けて、早速に取り上げられ、昭和30年1月に四ツ橋文楽座で、復活上演されました。

 現在では、歌舞伎、文楽ともに人気作品として繰り返し上演されており、すでに古典として定着した作品になっています。(M)



解説

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