大道具と小道具

おおどうぐとこどうぐ

 歌舞伎の舞台にはいろいろな道具が使われています。大きなものでは山や野原、町並みなどの背景、そして御殿から長屋まで豪華さも形も異なる大小さまざまな建物(屋体)があります。逆に小さなものでは手に持つ刀をはじめ扇子や煙管(きせる)など、芝居を開けるには大変な数の道具類が用意されます。

 職種は大道具と小道具とに分類されますが、これは単に物の大きさの違いではなく、「固定されて動かないもの」が大道具、「身につけるもの」「手に持つもの」、その他「移動できる小物」が小道具の受け持ちと言ってよいでしょう。

 ある座敷の場面を想定してみましょう。背景や建物はもちろん、庭の植木や石灯籠、部屋の襖(ふすま)・障子は大道具、一方、床の間に飾ってある掛軸や行燈(あんどん)・衝立(ついたて)などは小道具ということになります。また人を乗せる駕籠や馬は、ちょっと大きいですがこれも小道具。

 一種の例え話に「引越しの時、持っていくものが小道具で、持っていかないものが大道具」という言い伝えがあり、これが決まりということではありませんが、なかなか良く当っていることは確かです。

 大道具と小道具は、それぞれ別の専門会社によって運営されています。(K)



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