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熊谷直実

くまがいなおざね

 源氏方の武将熊谷次郎直実は、平家の公達平敦盛(たいらのあつもり)を心ならずも討ち取った有情の武士として有名です。※1

 実際の熊谷直実という人は、剛勇でかなり気性の激しい人だったようです。

 若年の折、亡父代わりに養育された小父久下直光(ひさしたなおみつ)の代理として京都へ上がったものの、そこで面白くないことがあり、直光に無断で平知盛の配下にはいってしまいました。怒った直光は直実の領地を没収してしまいます。

 治承4年(1180年)、源頼朝が挙兵すると源氏方に参陣し、十七将の一人として名を馳せます。宇治川の先陣争い、鵯越えの逆落し(ひよどりごえのさかおとし)に参加できなかったのを悔しがり、一の谷では抜け駆けの功名をねらって、息子直家(なおいえ)と共に平家の営中に斬り込んでいきます。

 建久3年(1193年)、以前直光にとられた領地の件で訴訟を起こしますが、巧言を並べることの出来ない人柄が災いし敗訴。長年のライバル梶原景時(かじわらかげとき)が直光側に加担したためだろうと怒ってその場で訴状を投げ捨て、髪を切って出家してしまったそうです。※2

 余談ですが、現在、文房四宝や香を扱っている老舗の<鳩居堂>の祖先はこの熊谷氏だといわれ、銀座五丁目の東京鳩居堂本店では、"熊谷陣屋"の幕に描かれている頼朝から賜ったという「むかい鳩」の紋をモチーフとした、向かい合う鳩のデザインが入り口を飾っています。(み)

※1 『平家物語 巻九 敦盛最期』岩波書店 日本文学古典体系 昭和38年
※2 『大日本人名辞書』経済雑誌社 明治34年



解説

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