屋体

やたい

 大道具用語のひとつで、舞台上に飾られた建物を総称して「屋体」と呼びます。いろいろな演目で必ず目にする屋体は民家から武家屋敷、さらには立派な御殿まで、その形や豪華さは実に様々です。

 平舞台の上に直接屋体を組むこともありますが、一段高く組まれた土台を「二重(にじゅう)」といい、それを床にして組まれた「二重屋体」も多くの演目で目にします。

 その高さには4通りあり、「尺高(しゃくだか)=1尺(約33センチ)」「常足(つねあし)=1尺4寸(約42センチ)」「中足(ちゅうあし)=2尺1寸(約63センチ)」「高足(たかあし)=2尺8寸(約84センチ)」で、おおむね世話物では平舞台か常足、陣屋や御殿など時代物の立派な建物には高足の二重屋体が使われます。

 また舞踊劇『将門』など、舞台上に組まれた屋体を観客の目の前で崩して見せる「屋体崩し」は一段とスペクタクルに富んだ演出で、ここも大道具の腕の見せ所です。(K)



解説

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