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歌舞伎 今日のことば・ことばで知る歌舞伎の世界



太郎冠者

たろうかじゃ

 そもそも冠者(かじゃ)というのは成人した男子のことをさします。
 中国の『禮記(らいき)』四十二篇「禮義(れいぎ)」に「已冠而字之,成人之道也(冠をかぶり、正式な名を持つということが、成人したということだ)」といわれています。古来、中国の文化を受け継いできた日本でも、冠(武家の場合は烏帽子)をかぶることで成人の証とするという儀式がありました。


 『平家物語』などの中でも、
 ≪蒲冠者(かばのかじゃ)≫=頼朝の異母弟・源範頼(みなもとののりより)、
 ≪九郎冠者(くろうかじゃ)≫=同じく源義経、
 ≪木曽冠者(きそのかじゃ)≫=源義仲、
 ≪清水冠者(しみずのかじゃ)≫=義仲の息子で、歌舞伎では『加賀見山旧錦絵』の大姫の許婚となっている源義高(みなもとのよしたか)
 ...というように成人して間もない若武者たちに冠者という呼称を使っています。


 しかし狂言の生まれた室町時代になると"冠者"という言葉から若い武者という語感は消え、単に"うちの若い者、うちで働く者"という使われ方をするようになってきます。太郎、次郎という呼び方は、聞けばすぐ「長男、次男」と思うように、"一番目の男子、二番目の男子"という意味なので、"太郎冠者"といえば、その家に仕える若い者の筆頭格、"次郎冠者"は二番手の若い者...という意味になります。

 なお、「冠者」は「かんじゃ」と読むこともあります。(み)

※周から漢代に儒学者が礼について書いたものを編集した書物。四書五経の五経のうちの一つ。



解説

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