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善玉悪玉

ぜんだまあくだま

 いまどき善玉悪玉といえば思い浮かぶのはコレステロール。悪玉コレステロールと呼ばれるLDLコレステロールが多いと血管がつまりやすくなり、心臓に負担をかけたり、脳梗塞を引き起こしたりするそうです。
同じように、江戸の人々は人の心には善玉と悪玉がいて、どっちが勝つかでその人が善人になるか悪人になるかが決まると考えたようです。これは山東京伝が黄表紙『心学早染草(しんがくはやそめぐさ)』で、頭がまん丸、顔の代わりに善・悪と書かれた『ゲゲゲの鬼太郎』の目玉おやじのような小人が、廓で放蕩する男の両袖を引き合うという絵を描いて大人気となったのがはじまりと見られています。

 歌舞伎舞踊『三社祭』では、その善玉悪玉が雲の中から降りてきて、隅田川に網を投げる漁師二人に入り込み、軽妙に踊ります。この漁師は檜前浜成(ひのくまのはまなり)・竹成(たけなり)という兄弟で、漁をしていて観世音菩薩像をすくいあげたという縁起に由来します。彼らの網にかかった像を、まさしく観世音様であると認め、本尊として寺を建てたのが土師真仲知(はじのまなかち)、この三人を祀ったのが三社様(浅草神社)です。浅草寺の"三つ網紋"の三つの網も、この三人を指しているといわれています。

 『三社祭』は独立した舞踊としてしばしば上演される人気作品ですが、初演の際は『弥生の花浅草祭(やよいのはなあさくさまつり)』という変化舞踊の中のひとつでした。三社祭に出る山車(だし)の人形が次々に踊る趣向となっています。『三社祭』の幕開きで、漁師二人が揃ってゆらゆらと揺れているのは、山車の上の人形が揺れているというつもりなのです。
(み)

※ 江戸時代は三社祭でも神輿(みこし)とともに山車がたくさん出た。



解説

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