大口

おおくち

 歌舞伎衣裳で、裾が大きく開いて幅の張った袴のことを≪大口≫といいます。
もともとは能装束の≪大口≫(大口袴の略)から出たもので、能では神や貴人、武将、僧、山伏、天女や貴婦人などが用いる装束です。

 歌舞伎では、能楽の形式を写した松羽目物の演目によく使用され『勧進帳』の弁慶、義経、四天王や、『鏡獅子』や『連獅子』の獅子、『船弁慶』の知盛、『土蜘』の土蜘の精などが着用しています。
『義経千本桜』の"渡海屋・大物浦の場"で、渡海屋銀平実は平知盛も白装束に着替え、白い大口を履いていますが、これも能『船弁慶』を意識してのことです。(み)



解説

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